第3話 振袖を自分で着た話

レンタル屋で試着して感覚を掴み、メルカリで正絹の振袖と京友禅の袋帯と襦袢を購入。3万程度で済んだ。帯締めやら草履やらにも決まりがあるらしいが、違いが分かる人なんて私ぐらいのものだろう、と自前のを使用。ヒートテックで完全防寒。


当日朝。振袖の帯なんて触ったことすらない母娘はてんやわんや。動画見りゃなんとかなるだろ、と高を括り、なんとかなった。母が庭から髪飾りを摘んでくる。髪はセルフでボブに切ったのでいじる必要がないのだ。バッグは着物によく合ったパーティー用のがあったので代用。しかし、胸元にスマホ、帯に招待状、袖に財布とハンカチ...と装備した結果、入れるものが見当たらなかった。


外は快晴、母娘ともども達成感に浮かれつつ、積もった雪に映える紅い振袖を写真におさめまくる。そして成人式に遅刻寸前。ここでダッシュできるのが着物に慣れている証よ、と心でほくそ笑む。


その日のうちに、母の手により私の晴れ姿が親類に拡散されることとなった。肖像権が心配だ。



また余談だが、後日、レンタル屋で見た振袖用バッグがオフハウスに500円で複数売られているのを発見し、レンタルの意義を熟考。結論は出ず。

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