飄々落弁ーひょうひょうらくべんー

源ミナト

飄々落弁《ひょうひょうらくべん》


放蕩周到ほうとうしゅうとう駄弁方便だべんほうべんまつろいます

津々浦々つつうらうら皆々様方みなみなさまがた


果敢かかん情感じょうかんこころざしに雲行くもゆあやしなきざしが見えます


孤高ここうはげむも、武功ぶこうたまわるはふところ世界せかい


めいよりぜによりってけるもふところ次第しだい


無二やにむに遮二無二しゃにむに言葉を並べ


気がつきゃあれよあれよなどころ


腰をたたきゃあ御老人ごろうじん


頭をかかえりゃ苦労人くろうにん


手をたねば御役人おやくにん


足をはこばにゃ仕事人しごとにん


声を出さにゃ弁護人べんごにん


舌をまわさにゃ被告人ひこくにん


筆を取らにゃ現代人げんだいじん


いやいや待ちない待ちない

そこはおいらにまかせなさい


ちょいとだけおいらに向きなさい


酔えばうたにて覚ましましょう

食えばふみにて見せましょう


文字紋所もじもんどころ羽織はおりはかま


落とし所はくすり墓場はかば


このみなもと皆一様みないちよう


口八丁手八丁くちはっちょうてはっちょう うごめきざわめき文字遊び


いずれ見ずともくなると

うずくキズとも言うなれど


やはりここは日本人にほんじん

やはりそこが日本人にほんじん


耳打みみうちされりゃ聞き寄せる

先を越されりゃ幅寄はばよせる


肩身が狭きは電車道でんしゃみち

肌身を寄せるが人の道



一瞥いちべつ切っても社会道しゃかいみち

一族きっての運試し


転がり落ちるは自堕落じだらく一世

むらがりちるがジタバタエッセイ



後悔遅いとささやけど

我思うにそれはない


人、行くところに道があり

高き背のやぶ 所狭ところせま


肥溜こだめ掃き溜めの水っ掛け

目くそ鼻くそが ご愛敬あいきょう


信ずる所に由緒ゆいしょあり

きょうじる所に善処ぜんしょあり


皆一命一生みないちめいいっしょう過ぎれども

皆一芸一手みないちげいいってに駆けて行く


長きに耐えての腕磨うでみが

多きに付けての足運あしはこ


短期だ ぬるいと大騒おおさわ

短気だ なんだと空騒からさわ


甘い苦いが客商売きゃくしょうばい

うまにぶいの銭商売ぜにしょうばい


悠々自適ゆうゆうじてきに遊んだれ

焦燥自戒しょうそうじかいに悩んだれ


不愉快であれど事実なり


さあそこにおわす面目めんもく

さあそこにおわす面々めんめん


お勤め さぞさぞ帰りして

今日一日こんにちいちにちさぞ生きた


甘えなれども日をまた

辛いなれども息を継ぎ


ちょいとお耳を貸しなさい

ちょいとお目々めめをむけなさい


口にて挨拶あいさつうかがえど

口では到底とうてい物足ものたりぬ


お疲れなぞでは事足りぬ

ご苦労であってもまだ足りぬ

ええいやれやれ浮かばない


ねぎらいの語りぞ締めくくれい

一筆啓上いっぴつけいじょう締め染めて、今ぞここに申し書き



お疲れござんす ごゆるりと

お疲れござんす ごゆるりと


立っても這っても ごゆるりと

急いても欠いても ごゆるりと


泣いても滅入めいても ごゆるりと

いてもいても ごゆるりと


天晴あっぱ様々さまさま 皆一様みないちよう

頬張ほおば釜飯かまめし 皆一同みないちどう


お疲れござんす ごゆるりと

今日にも明日にも ごゆるりと


ここらで一生述いっしょうのべ比べ

どんぐり背伸びのすべ比べ


あれまあれまの口滑くちすべ

よもやよもやの口回くちまわ


こりゃいけねえやな もう閉じよう


人録ひとろく声高こわだか揚々ようよう

ここらでおいとまいただきます



何故に何故にと聞かれども

風に風にと吹かれして


いずれは去るのが芸風達者げいふうたっしゃ


右へ左へご厚意の

お手を合わせて締めくくれ

やっとこ さあさと締めくくれ


ひふみ よつごで締めくくれ

ひふみ よつごの締めくくり


あなや さぁさのどっこいさ

あなや さぁさのどっこいさ


これにて ゴメンつかまつる

これにて ゴメンつかまつる

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