鬼
ヌリカベ
鬼
梶川能衡は
郷司の安川氏も侮れぬほどに力をつけた能衡は増長し、
荘官の嵯峨定遠は能衡の罪状を数え上げて、郷司の安川維盛に捕縛を命じたが維盛は能衡の報復を恐れ、娘の婿に迎えて家人として抱え込むことにした。
これを持って能衡の行状は改まった。
そして二年の歳月が流れ安川維盛は
大番役より帰ってきた能衡は、月足らずで生まれた三男に疑心を覚えた。
留守の折に出入りしていた
そして能衡が我に返ったとき鬼となって我が子を喰らっていた。
その日より毎月一日の新月の夜に成ると荒れ果てた郷司の館から里に鬼が下ってきて里人を喰らうようになった。
たまたまこの地を通り宿を借りた旅の僧が
そしてその僧は鬼に
鬼
我は人也。
人として生まれるも、親に
その様に行動し郎党を従え、力を
人としての性分を
然るに力を抑え舅に従ったが為に妻や家人に裏切られ、
それ故にこの先、人として力を誇示し寿命を全うすべくこうして里を襲うのである。
故に今の己の姿こそが本来の人としての姿であると。
旅の僧は、重い口を開き能衡に告げた。
そなたの申すはすべていいわけである。力を誇示しそれを
それでも己は人であると
そなたが我が子を喰ろうてからどれだけ経った。その間幾人の里人を殺したかと。
能衡
僧は能衡に告げた。
百年である、百年姿が変わらぬそなたは未だ己を人と言い張るのかと。
能衡が驚いて悲鳴を上げると、僧が印を結んだ。
能衡の身体は
鬼 ヌリカベ @nurikabe-yamato
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます