KAC20237 いいわけ

ママの青春時代

「あ、これ私」

　正直、開いた口が塞がんなかった。

　派手派手なメイクに、だらしない靴下。短いスカートに真っ黒な肌。

　本当、どこの誰だって感じ。

　たまたま家の中漁って見つけたアルバムの中の一枚の写真。いったいどこの誰だって思って聞いたら、結果はこれ。

　二十七年前、正真正銘のＪＫだったママ。

　本当、見てらんない。

　で、パパにその事言ったらお前も二十五年も経てば同じ事言われるぞだって。

　あーつまんない。本当につまんないド正論。

「ああそう言えばこの頃カラオケしょっちゅう行ってたわね」

「俺もだったな、よく部活の先輩に誘われてさ」

　カラオケかあ、私だって行った事ないわけじゃないけど好きでも嫌いでもない。文化祭とかで誰か来るとか来ないとかやるとかやらないかと言うけど、歌には興味ないし。

　にしても正直、昔のママはすっごくダサい。制服姿のパパはそれなりにカッコいいけど、どうしてこんなんなっちゃったのやら。

「そう言えばあの藤沢ってのはどうした」

「ああ彼女、今でも独身で仕事してるらしくてさ」

「なんだよ、お前に強引にファッションを押し付けたにしちゃずいぶんだな」

「本人は仕事が好きだとか言ってるけど、あなたと違って万年平社員だからねえ、今期完全に逃しちゃってるし言い訳は下手よねー」

　で、質問しようとしたら二人ともそんな事言い出した。

　人のせいにして言い訳だなんて、本当にダサい。そりゃ私だって友だちの意見には人並みに流されると思うけどさ、それを他人のせいにするだなんて本当もう……。

「ああ懐かしいな、いいわけって。俺十八番だったんだよ」

「ああそうだったの！」

　で、いいわけなんかやめろって言ったらこれ。

　は？十八番？それってお得意って事だよね？

　そんな曲……あった。

　パパもママも私ぐらいの時に聞いてた曲らしい。

　……ああ、いい曲でやんの。

　私もいずれはパパ・ママみたいになるのかなあ。まあいいけど。