【掌編】『7』の呪い~777文字で綴る物語⑥~

3ツ月 葵(ミツヅキ アオイ)

母娘の攻防

「ただいま~! はい、母さん」


 帰宅してすぐのこと、ドキドキしながら私は学校からのお知らせプリントを母に渡した。


「ん? なに? ――えっ!?」


「今度、保護者参加の卒業前のお別れ会があるから――」


「無理よっ!」


 私が言い終わる前に母は即答でこたえてきて、やっぱりかと落胆。


「この日って17日じゃない! 7の付く日よ。『7』っ!!」


 理由も予想していた通りで……。


「私が『7』の付く時には動けないの、知っているでしょう?」


「知ってるけど……一応。でも、聞いておきたくて」


 分かってはいたがハッキリとこうも断られたことが寂しく、シュンとうな垂れて返事をした。


「そうは言われてもこればっかりは――ね? 魔女の呪いってそんな簡単なものじゃないことはお話しているでしょう?」


 しまったとばかりにアワアワと慌てて母は弁解をしてきて私の御機嫌を直そうと必死だ。

 昔々に魔女から呪いをかけられ、異世界から弾き出されて地球に逃げてきたのだと、幼い頃から私に聞かされ続けてきている。

 だから知ってはいたが小学校最後の特別イベント。

 友達は皆、母親が参加する予定だからできることならと思ってのことで。


「ごめんなさい、母さんを困らせて。ただ、小学校卒業前の最後の特別イベントだったから、もしかしたらと思って」


「ううん。私こそごめんね。いつも寂しい思いをさせてしまって……。でも『7』の付く日や時間、『7』と付くものに母さんが関わると地震だったりの災厄を招いてしまうから」


「そう……だよね」


「あなたを守る為にも、周りのお友達とかにご迷惑をかけない為にも、私は家の中に引き篭もることにするわ。せっかくの楽しい思い出を潰したくないもの」


「うん……分かった」


 私はガックリとしつつも仕方ないよねとグッと諦め、二ッと作り笑顔を向ける。

 すると母は何かを察してか、曇った表情になって呟く。


「私が魔女でなければあなたに……」

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