決めるのはあなた次第

高山小石

信じるか信じないかはあなた次第!

 高校生時代に友達になったばかりのグループで話していた時のことだ。

 どういう話の流れだったかは忘れてしまったが、私が「自分のしたことは返ってくるから、卑怯なことはやめた方がいいよ。シーソーの片側は自分、反対側は世界が乗ってるから」みたいなことを言ったら、「それ、なんの宗教?」と返されて驚いた。

 そんなご大層なものじゃなくて、ただの経験則なのだと当時はうまく説明できなかった。

 中学生になった子が、「幸せが続いたら不安になる」と言う。

 どうして? とたずねると、「幸せと不幸せは同じ量くる。いいことばっかり続いたら、バランスをとるために次はよくないことが起こりそうだから」らしい。

 実際のところはどうなっているのかわからないけれども、少なくとも私や子にとって、この世の中とはそういう流れだと感じているのだ。

 だから、私はなにか失敗したり不幸があったりすれば、「最近は自分以外に対して気を配れていなかったかもしれない」と反省しがちだし、子は「いま失敗したから、次はきっといいことが起きる」と前向きに思う。

 同じアンラッキーな出来事に行き当たったとしても、私と子では受け取り方が違うし、もっと違う受け取り方をする人だっているだろう。

 起こった出来事は同じなのに、受け取り方で印象がまったく変わるので、「そもそもアンラッキーとは?」と思えてくる。

 そして多くの物書きなら、アンラッキーに対して「美味しいネタをありがとう!」と感謝すらするだろう。

 なにしろ、誰が見ても幸せなことをそのまま書けばねたまれる世の中なのだ。適度に不幸ネタの方が周囲からのウケもいいし、ネタにして笑い飛ばせたら、自分だってスッキリできるというものだ。

 最近の私は、不幸な出来事に見舞われるたびに、「あぁ物書きで良かった。反省しますから、これ以上ひどいのは勘弁してください」と願い、ちゃんとカタチに残すようになった。

 

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決めるのはあなた次第 高山小石 @takayama_koishi

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