アンラッキー

Totto/相模かずさ

アンラッキー

 誕生日は7日。だから私のラッキーナンバーはずっと7だった。

 くじを引く時、好きな数字を選べって言われた時も迷いなく7と答えていた。

 小学校5年生で出席番号が7の子を好きになって、きっと彼が私の運命だわなんて勝手に思い込んでバレンタインにチョコをあげてその場で玉砕した時に、もしかしてそんなにラッキーなことない? なんて、少しだけ考えた。そういえば7を選んだくじで当たったことなんて一度もなかった。


 高校になって、私はまた懲りずに恋をした。

 小学校の時とは違う、淡い恋じゃなくてもっと素敵な大人の恋、自分ではそう思った。

 相手の名前に7が入ってると知った時、また運命を感じた。

 今から思うと私の運命はいくつあるんだとツッコミを入れたいが、オタクな女子高生は思い込みが激しく、七海という大学生に私は恋をした。

 七海は高校に入ってできた私の友人の兄で、それまで会ったことのない大人の男だった。

 いや、父親とか教師とかいるじゃんと今なら思う。

 でもその時の盲目っぷりは周りなど見えておらず、汗のにおいを感じさせない爽やかな男子大学生に私は恋をした。


「あのね、うちの兄って結構クズよ」

「はいはい、由香里ってば意外とブラコン? それに七海さんがクズなら私みたいなのでも相手してくれるかもじゃない。バッチコイだわ」


今ならわかる。友人は真実を言っていた。

そして私をぶん殴ってでも止めて欲しかった。

忘れもしない7月7日七夕の日。私は七海さんをデートに誘った。

ラッキーナンバーの日ならきっとこの恋はうまくいくとウキウキしながら。


当日、七海さんは見事に遅刻した上、私のファーストキスを奪い、そして言った。


「君って可愛いけど、やっぱり子供だしね。それに妹の友人に手は出せないからバイバイ」


 友人はそれみたことかと慰めてくれて、私たちの友情はその後も続いたが、7という数字はアンラッキーだと認識を変えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アンラッキー Totto/相模かずさ @nemunyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ