【KAC20236】起動しないロボット達

amegahare

7台のロボット達

怪獣が出現して人類を襲うようになってから百年が経過した。

そこで人類の英知を結集して、七台の汎用型ぬいぐるみロボットが創られた。

ぬいぐるみは、ねずみ、うし、とら、うさぎ、どらごん、へび、うま、の形をした七台である。


基地の中に怪獣接近を知らせる警戒音が鳴り響いている

「また、怪獣の接近か。これじゃあ、ゆっくりとミックスジュースも飲めないや」

汎用型ぬいぐるみロボットのパイロットである俺は、これからの出撃準備を考えて、思わず溜息を洩らした。

ブルルルッ!

俺の腕に巻かれた時計型端末に司令部からの出撃連絡が入った。

「さて、いくか」

俺は飲みかけのミックスジュースに蓋をして、ロボットの待機場所へ急いだ。

待機場所では整備士のミケレレと会い、ロボットの状況を確認する。

「ねずみ型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「ねずみ型ロボットは昨夜のパレードの影響でメンテナンス中です」

「そうか、仕方ないか」


俺は次のロボットの状況を確認する。

「うし型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「うし型ロボットは牛乳の供給不足で起動できません」

「そうか、仕方ないか」


俺は次のロボットの状況を確認する。

「とら型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「とら型ロボットは眠たいそうで、起動できません」

「とらは怖いし、仕方ないか」


俺は次のロボットの状況を確認する。

「うさぎ型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「うさぎ型ロボットはにんじんの食べ過ぎで起動できません」

「そうか、仕方ないか」


俺は次のロボットの状況を確認する。

「どらごん型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「どらごん型ロボットは気分が優れないそうです」

「そうか、仕方ないか」


俺は次のロボットの状況を確認する。

「へび型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「へび型ロボットは冬眠中です」

「そうか、仕方ないか」


俺は次のロボットの状況を確認する。

「うま型ロボットの調子はどうだ?」

整備士のミケレレは気まずそうにいう。

「うま型ロボットは今週末の大事なレースを控えているので、嫌だそうです」

「そうか、仕方ないか」


まさか、七台とも起動できないなんて。

「まさに、アンラッキー7だな」

俺は再びミックスジュースを飲むために、ロボットの待機場所を後にした。

(了)

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