彼女だけが魔法が使える
三雲貴生
一話完結
私はサイコロが好きだ。ナゼなら、サイコロは六面体で、6っつの面しかないからだ。なんど振っても7の目が出ない。コレはけっこう重要な話だ。
私はサトウ・アン。この世界で女子高生をしている。だったら「この世界でないところではナンダ?」となるよな?
私は異世界からの帰還者だ。
この世界では、魔法を使える者はいない。私のサーチの魔法の範囲内という条件がつくが……。
私は未だ女子高生だし、隣のたかし君も、幼馴染のままだ。変わったのは、少し荒っぽい言葉づかいだろうか? まあ
『ピピピピ……、ミサイル警報!! ミサイル警報!!
キタノキョウイというミサイルが、毎日1発、街を襲う。異世界で最強を誇った私の魔法でもどうすることも出来ない。
キタノキョウイ。あったあった、確かにあった、でもそこまで差し迫ってはいなかったよ。
「ええと、こういうのなんだっけ? なんだっけ? 喉まで出かかっているんだけど? ハイ、たかし君」
「パラレルワールド?」
「そうそうパラレルワールド。私は異世界からパラレルワールドの世界へ迷い込んだんだぁ!!」
「現実逃避しないで……。それより、このミサイル警報。正確すぎると思わない?」
「なにが言いたいの?」
「魔法じゃないかな? ミサイルの発射を予知する魔法。またはミサイルの弾道計算する魔法」
「ナイスアイデア。まるでエスパー○美の○畑さんみたいだね。異世界にも、遠距離魔法の発動を検知する魔法もあったし、ミサイルの弾道計算をする魔法は──なかったけど、遠距離魔法の弾道計算をする数学者はいたよ」
「君と同じように、異世界から来た魔法使いって可能性もあるんじゃないかな?」
「可能性はあるね。ミサイル予報局ってどこ?」
「この先の山の上にあるよ」
「ん──。わたしの魔法サーチの範囲内なんだけどな──。でも行ってみるか!」
ところで魔法使いって空飛べるの知ってた? ほうき? いやいや、鳥に乗るんだよ。大きなカラスだったり、大きなハトだったり。要は魔法で大きくした鳥だ。
私の相棒はオオワシだ。そのまま乗れるので便利だよ。女子高生がオオワシにまたがって飛ぶ姿を想像できるかい? この小説がアニメ化されたら見てみたいね。掌編だし無理だね。
着陸に失敗して、泥と羽まみれになってしまった。まるでアメリカ開拓時代の罪人だ。ワッシュの魔法できれいに洗い流す。
元天文台のミサイル予報局はすぐに見つかった。魔法使いに警備も鍵も無意味だ。早速訪問。
「こんにちわ。預言者さん?」
預言者は、私の突然の訪問に動揺せずニッコリと微笑んだ。白衣を着た小さな女の子だった。女の子は、私をみつめるとワーと話しだした。
「待ってましたよ魔法使いさん。ワー。本物の魔法使いだ。魔法使って見せて下さい。大丈夫ですよ、ここにキタノミサイルの配置図がまとめてあります。まだ時間がありますから、ゆっくりしていってください」
「ちょっとまって落ち着いて。あなたは魔法使いではないのね?」
「はい、予知能力者に分類されます。だから、あなたの訪問も予知してました。魔法ってどんなのを使えますか? 一通りやってみて下さい。広いところ行きましょう!!」
魔法は、火・水・風・土と一通り行った。ワーと子供みたいにはしゃいではいるが、白衣の少女は成人である。
「予言の能力が発見されたのは、私が7歳のときです。交通事故ですね。友達が車に轢かれるのが見えたんです。これが初めての予知の発動でした。予知っていうのは、見ている間は、たった今起きていることのように見えるんですが、実際はまだ先で、実際に起きるのは、次の映像になるんです。だから、なんて言いますか……2回観たみたいな?」
「ミサイルの配置図はありがとう。これで事前にミサイルを破壊できるわ」
「壊すんですか? 大○まり子先生の未来視○ちみたいに、ミサイルを消したり出来ないんですか?」
「消滅の魔法はあるわ。でも、レベル7の魔法なのよ。私はレベル6の魔法使い。破壊はできるけど、消滅はできないわ」
「そうですか。まあいいです。あなたは大事なものを守るため、消滅の魔法を使うことになります」
ー北へー
私はミサイル破壊のために北へ飛んだ。最短でミサイルを破壊していく。キタノ国では、ミサイルがなぜ自爆していくのかわからないまま混乱していた。だが指導者が決断をくだす。自爆する前に撃ってしまえ!!
残るミサイルが同時に発射された。この数をひとりで破壊なんて出来はしない。
私はキタから飛んでいくロケットに乗り移りながら破壊していく。行きはオオワシに乗り、帰りはミサイル。
「最後の手段はレベルアップしかない」と善の私が言う。
「ダメよ。レベル7になれば、消滅の魔法が使える。でも、私の魔法は発動するたびにギャンブルが発動する。レベル6までならサイコロを3つ振ることができる。ゾロ目が出れば、魔法力がその目の数に倍する魔法が発動する。1・1・1なら1倍。2・2・2なら2倍。そう6・6・6なら6倍。すでに最強を極めた私の魔法が6倍になるのだ」
「良いことばっかりじゃない?」と善の私。
「レベル7になれば、当然7・7・7で7倍+α。プラスアルファってナニよ!! 嫌な予感しかしない。7倍なら7倍で良いじゃない。プラスアルファするなよ。バカ!!」
「案外良いことが起きるかもね?」と善。
「いいか、私っ。良い格言を教えてあげる。『高すぎる
「誰の格言?」と善。
「私だ私っ」
『ピピピピ……、ミサイル警報!! ミサイル警報!! 大量のミサイルがニッポンに接近中。外にいる方は、地下に避難して下さい。予想到着時刻は、7:17。
預言者のミサイル警報が私の耳に届く。日本が近い。
「私たちの街だ!! たかし君が死んじゃうっ!! いっそ私を盾にして……」
防御魔法で限りなく固くする。そしてミサイルに体当りするのだ。
「何発持つかわかんないけど……」
異世界の思い出が、走馬灯のように蘇る。
ラッキー値を上げてくれたサポーターの
でも、
「ええい、やるしかないっ!!」
私はレベルアップを望んだ。
「レベルアップを開始します。レベルアップ完了。魔法発動時のギャンブルは、カード4枚になります。1・1・1・1で1倍の魔法力。2・2・2・2で2倍の魔法力。……。6・6・6・6で6倍の魔法力になります」レベルアップの神様は、こっちの世界でも健在だった。
「プラスアルファについて教えて」
「カードが4枚に増えましたので、7・7・7・7の時のみ、魔法力7×7×7×7=2,401倍になります」
「2千4百1倍? これがプラスアルファ?」
「いいえ、それは発動してのお楽しみです」
「お帰りなさい。魔法使いさん。私の予言したミサイルの弾道予想を送るね!」預言者の声が、私を勇気づける。
「消滅魔法」
「ギャンブルを開始します。成功、7・7・7・7。よって魔法力2,401倍されます」
「ミサイルの弾道予想をマップに反映すると消滅魔法を日本全国に発動した」
奇跡は起きた。日本を襲ったミサイルはすべて魔法で消え去った。
私はオオワシを呼び寄せ帰国した。
「おかえり。アン」
「たかし君」
アンがに抱きついた瞬間。
プラスアルファの魔法が発動。
「ぷち」
私のスカートのゴムが切れた。
預言者も駆けつけた。「わーも。えっち」
私はサイコロが好きだ。
なぜならラッキー7が大嫌いだから。
おしまい
彼女だけが魔法が使える 三雲貴生 @mikumotakao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます