【KAC20236】アンラッキー「777」

雲条翔

第1話 【KAC20236】アンラッキー「777」

 ケントとカール、二人の男が話していた。

 

ケント「なあ、ゲームをしないか? 言葉遊びで、数をぴったり合わせた方が勝ち、というルールだ」


カール「面白そうじゃないか。どういう言葉で、何文字なんだい?」


ケント「言葉に制限はない。ただし、文字数は777文字だ」


カール「そんな長い言葉があるか?」


ケント「ひとつの単語じゃなくても構わない。文章でいいんだ」


カール「文章で、777文字か。難しいな。結構悩むんだが……」


ケント「実はもう始まっている」


カール「始まっている、だと?」


ケント「順番に数字を言い合って、30を言わされた方が負け、という『30ゲーム』があるだろう? その言葉バージョンだ。順番に言葉を発して、トータルで777文字目を越えた方がアウト。ギリギリで踏みとどまった方が勝者だ」


カール「誰が数えるんだ、そんなの」


ケント「実は、自動的に文字数はカウントされるんだ。今もカウントされているのさ。現在、380文字くらいか。おっと、今のセリフで390文字になった。というセリフで400文字を超えた。ははは、面白い」


カール「何が面白いのか、俺にはよくわからん。ゲームを降りるぜ」


ケント「それが、もう降りることはできないんだ」


カール「なぜだ」


ケント「俺もお前も登場人物。退場はできない仕組みになっているのさ。楽しい会話を続けようじゃないか」


カール「ちくしょう、このゲームに乗っかるしかないのか……ちょっと待て、お前にだけ文字数が分かって、俺に分からないというのは、不公平じゃないか? 現在の文字数を表示してくれ」


ケント「なるほど、一理ある。いいだろう」


<現在の文字数は 680文字 オーバー>


カール「なにっ! 777文字まで少ししかない」


ケント「ふふっ」


カール「沈黙」


ケント「単語しか喋らないつもりか」


カール「作戦」


ケント「卑怯」


カール「否!」


ケント「笑」


ケント「今何文字」


<現在の文字数は、77777777縺ゅ縺縺らぁ撰シ托シ抵シゑス繧ゥ怜喧縺代ヱ繧ソ繝シ繝ウ繝サ遐皮ゥカ樞包シ搾シア竭竇。、「、、、ヲ、ィ、ェ 」ー」ア」イ」ウ皀筌」リ」ル」レ竺軸宍雫七////而耳自蒔・ゥハクサ嵂ス、ア・ム・ソ。シ・□□□□――――


<システムエラー>


<システムエラー>


<システムエラー>


<システムエラー・・・自動復旧中>


<システムエラーが発生しました>


<その表示で777文字目を越えました。ご了承下さい>


ケント・カール「そんなバカな!」


二人は「こんな“不幸”なことがあってたまるか!」と、文字カウントシステムの健全性や運用について、システム管理者に対して延々と長時間、クレームを述べた。


それはもう、担当者が辟易するほどで……。


クレーム報告書に記されたその文字数は、20236文字にもなったという。


【KAC(ケント・アンド・カールの)20236】アンラッキー「777」   <了>





 


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