悪魔の数字

佐々木 凛

第1話

 私の家は、学校まで742歩の距離にある。

 何故そんなことを知っているのかって?

 

 はっはっは。その前に、自己紹介を忘れていたね。私の名前は、青木歩。所謂厨二病というものを患っている、普通の高校3年生である。


 さて、そんな私のあだ名は何か、君たちにわかるだろうか?


 え? なんでみんな知ってるの?

 ……キャッチコピーに書いてあった? 何を言っているんだい?

 まあ、いい。仕切り直そう。


 私のあだ名は、アンラッキー7だ。なんとも格好いいあだ名で満足しているが、その由来は実に不名誉なものだ。

 私は、7という数字にまつわる出来事に関わると、必ず不安な目に遭うのだ。家から学校までの歩数ですら、その影響を受ける。


 家から学校へ出発して7歩目には、必ず頭のてっぺんに鳥のフンが降ってくる。

 どれだけ道の端を歩いても、早めに出発して時間を変えても、毎日必ず鳥のフンが降ってくる。


 そして77歩目には、何かしらの冤罪をかけられそうになる。

 昨日は前を歩いていたOLにストーカー扱いされて警察を呼ばれそうになったし、一昨日は小学生が悲鳴をあげて防犯ブザーを鳴らした。

 あの時の周囲の白い目は、今もまだ鮮明に思い出せる。


 更に、七夕も地獄だ。7月7日という日付に7が二つも揃っているだけに、毎年とてつもない災難に遭う。

 昨年は、信号無視した十トントラックに轢かれそうになった。一昨年は通り魔の現場に遭遇したし、それより前には銀行強盗の人質になったこともある。

 ここまで来たら、もはや不運という言葉でも片付けられない問題である。


 世間一般では666が悪魔の数字だとして持て囃されているが、私にとっては777こそ悪魔の数字である。


 7が二つ揃うだけで命の危機に瀕しているのだから、きっと7が三つ揃った日には、私は死んでしまうだろう。


 勿論、そうならないように、7が三つ揃うような場面には出くわさないようにしているけどね。

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悪魔の数字 佐々木 凛 @Rin_sasaki

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