セブンス・ラプソディー
麦直香
午前7時7分7秒・七永荘107号室
「ああああッッ!!どうやったら抜け出せんだよ!」
男はアパートの一室で畳に這いつくばって悶えていた。
時間が停止してから、すでに一時間は経っただろうか。着替えはとっくに終わっており、全身スーツ姿である。
あとは玄関のドアを開けて、最寄り駅まで歩いて出勤するだけであるが……
男はベッドの上で裏返しになった時計を掴み取った。
午前7時7分7秒。
時間は動かない。
男は冷蔵庫を開けた。
卵が7個パックの中に。
モンスターは3本しか入っていなかったのにいつの間にか『7』本置かれている。
温度を示す小さな液晶画面には『7℃』と表示されている。
男は本棚を見た。
置いておいた漫画のうち『7巻』以外が全て消え去っている。
男はテレビを見た。
画面には天気予報が映っている。
「今日は全国的に最低気温が『7℃』を記録する地点が多い傾向にあります。札幌、仙台、前橋、東京、名古屋では――」
「えー、ここからは番組編成を一部変更してお伝えします。スター・ウォーズ/エピソード『7』フォースの覚醒です。ぜひ御覧ください」
「では前回の復習です。私の後に続いて言ってください。『7 』is everything in this world and is the key word to escape from this world.」
目の前の世界が全て7を主張しに来ているという異様すぎる光景。
男は自暴自棄になっていた。
これからどうすればよいのだろう。
時間は動き出さず、目の前には7にまつわることしか言ってこない人と、それしか主張してこないモノ達。
この事象が発生してからおおよそ7分後には邪な考えも浮かんだものだ。
時間が止まっているのなら、盗み放題じゃないか!と。
だが買い物が出来ただけで、人々は普通に動いており――。
買い物?
そうだ、たしか預金には……7777円ちょうどが入っていた。
だったら、今日の夕飯はこれで決まりだ。
『七』草粥。
セブンス・ラプソディー 麦直香 @naohero
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