三匹の女怪物

コラム

***

古城に呼び出された一人の少女。


彼女は男性が着るような燕尾服を身に纏い、城内で不機嫌そうに立っていた。


そこへ燕尾服の症状よりもさらに幼い少女、いや、幼女が現れた。


獣耳としっぽが生えた幼女だ。


「あ、吸血鬼族のアン·ドラキュラだ」


「そういうあなたは、人狼族のラッキー·ウェアウルフね」


顔見知りだった二人は互いの名を口にした。


アンとラッキーは、そのまま不可解そうに顔を見合わせる。


「あなたがわたしを呼び出したのかしら? 名前もなしに手紙をよこすなんて、ちょっと失礼が過ぎるのではなくて?」


「知らない。あたしじゃないよ。だって、あたしもここへ呼び出されたんだもん」


二人が話をしていると、城内の通路の奥から足音が聞こえてきた。


その方向へ視線を向けると、そこには長身の女性の姿が見える。


整った顔に膨らんだ胸と尻を強調するような細い腰、誰もが振り返らずにはいられないほど美女がそこにいた。


だが悲しいかな。


そんな美女は完璧な美を持ちながらも全身と顔がツギハギだらけだった。


「セブン·フランケンシュタイン……。人造人間ごときがわたしを呼び出したの?」


「アン、口が悪い。セブンさんにそんな言い方しちゃダメ」


セブンと呼ばれたツギハギの美女は、二人のやりとりを見てクスッと笑うと、その豊かな胸の谷間から水晶玉を出した。


アンとラッキーは自分の胸に触れながら、目を細めながらセブンを見ていた。


水晶玉から声が聞こえてくる。


《お前たちを呼び出したのは私だ》


水晶玉から聞こえる声は、すべての魔族の王である魔王のものだった。


アンとラッキーが慌ててひざまずくと、魔王は言葉を続ける。


《私は勇者によって封印されてしまった。そこでお前たちを呼び出したのだ》


封印を解くためになんとかするのだと、魔王は彼女たちへ命を下した。


こうして吸血鬼のアン、人狼のラッキー、人造人間のセブンは動き出すことになった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

三匹の女怪物 コラム @oto_no_oto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ