【KAC20236】数字の信奉者
かみきほりと
01 祖父の告白
俺にとって『七』は不幸の数字だ。
子供の頃、幸運を手に入れようとして、七という数字にこだわった時期があった。その結果、失せ物をはじめ、盗難や交通事故など、何かと不幸に見舞われ始めた。
なので、死を連想するからと避けられがちな『四』の信奉者になった。
五等の宝くじが当たった時は、なぜ四等じゃないのかと悔しがったりもしたが、それからは、福引で羽根のない送風機が当たったり、落とした財布が戻ってきたりと、ささやかな幸運が続いている。
それならばと、苦を連想する『九』で実験したこともあった。
その時は、階段を踏み外して落下したけど大ケガに至らなかったり、犬に噛まれたおかげで交通事故を免れたり、満席で入れなかった店が営業停止になったりなど、不幸なのか幸運なのか分からない結果となった。
ついでに試した、末広がりで縁起がいい『八』の時は……
何かが起こるたびに、なぜか俺が犯人だと疑われるようになった。
最終的には無実だと判明するのだが、これは精神的にきつかった。
それからは、別の数字で実験するのをやめ『四』ひと筋でやっている。
この日は何かが変だった。
目覚めて時計を見たら七時七分だった。
牛乳パックの消費期限は七日まで。朝の占いのラッキーナンバーは七。そういえば、今日は七日だ。
角を磨き、翼を確認し、それらを隠すと急いで会社に行く支度を始める。
七尾駅の七番ホームで七両編成の列車に乗り、七分後に七品駅で降り、七日町通りを歩いて、前から来た七七七七のナンバープレートを付けた車にはねられた……
どうやら俺は死んだらしい。
ずいぶん前に亡くなった祖父さんが、わざわざ迎えに来てくれた。
俺のみに起こった不思議な出来事を話すと、祖父さんは笑いながら……
「まあ、ワシら、悪魔じゃからの。数字の魔物に取り憑かれたのやも知れぬの」
なんてことを言ってきた。
俺は
【KAC20236】数字の信奉者 かみきほりと @kamikihorito
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