七を呼ぶ男［KAC2023:アンラッキー7］

七を呼ぶ男

　俺は７が嫌いだ。

　世間ではラッキーセブンなんていうが、俺の人生で７という数字が出るとツイてないことが起きる。ただの偶然だと思うかい？

　この世には巡り合わせというものがあるんだ。

　小学生のとき、背の順が7番目だった。俺の後ろの奴は素行が悪く、背の順で並ぶときには必ず膝の裏を蹴られた。

　中学校では一年七組のときだ。運動会で配られた弁当が俺のクラスだけ腐っていたらしく、俺を含む全員が腹を下した。

　初恋の女は七瀬といった。勇気を振り絞って告白したら、あっさり断られた。その翌日、俺が七瀬に告白したことがクラス中どころか学年中に知れ渡り、ひどく揶揄われた。

　七瀬が面白がって広めたらしい。

　高校受験では受験番号に七が入った第一志望校に不合格。勉強不足だと思うかい？俺は７のせいだと思ってるよ。

　何故か俺は7を引き寄せて、7は俺に不幸を呼ぶ。

　この話を同僚にしたら、無理矢理パチンコ屋に連れてこられた。

　スロット台はレバーを下げてリールを回す。三つのボタンを押せばリールが止まり、７が揃うと当たりだ。

　ものの数分で俺は７を引き当てた。それから何度もすぐに７が揃い、受け皿にはメダルが溢れんばかりになった。

　閉店間際まで当たりが続き、換金したメダルは77,700円。初めて７でラッキーなことが起きた。この調子だとスロットだけで稼げるんじゃないか、そう思った瞬間。

　背後から激しく体当たりされ、財布にしまおうと手に持っていた金を奪われた。

　走って逃げる男のジャンパーには７７と背番号が縫い付けてあった。泡銭とはいえ、金を奪われたのはショックだ。

　やっぱり７は不幸な数字だ。

　突如、目の前で男の体が宙を舞った。アスファルトに叩きつけられ、男はうめき声を上げている。

　立体駐車場から飛び出した車にはねられたのだ。運転手が慌てて車から降りてきて、倒れた男を前に頭を抱えている。

　車のナンバーは、７７７だった。