魔女リルフィアはついてない。
友斗さと
第1話
この日の占いは最悪だった。
魔女リルフィアのアンラッキーカラーは黒、アンラッキーナンバーは7、アンラッキーフードはパン。
とにかくこの3つは何としても避けたいところだ。
魔女の占いは予言に近い。特にリルフィアは占いが得意な魔女だ。さらに悪いことに、今日は占いの調子がとても良かった。
だから分かる。
この占いは当たる、と。
『今日の貴方は要注意!何をやっても上手くいかないでしょう。出来ることなら外出は控えたほうがいいかも』
だが残念なことに今日は会議があるのだ。しかも不吉な事に朝7時集合なのだ。
嫌だ。嫌な予感しかしない。
しかしどうしても出なくてはならない。
「仕方ありませんね」
リルフィアは覚悟を決めて外に出ることにした。
出る前に、ちょっと自分を慰めるために、熊のぬいぐるみのマキアを抱きしめた。
最新の注意を払いながら、足早に目的地へと向かっていると、有翼族の少年に声をかけられた。
彼は黒い服を身につけていた。
「ちはース!リルフィアさん!」
「こんにちは。そしてさようなら」
「えぇ!?ちょ、ちょっとつれないですよ!?」
「すみません。ちょっと今日は運気があまりよろしくないので」
「運気スか?」
リルフィアは少年に説明した。今日の占いのことを、包み隠さず全て。
「へぇ〜」
「という訳で私は7という数字とパンと黒には関わりたくないんです。さようなら」
「えぇ!?」
少年は驚いた声を上げた。
「え?ただの占いですよね?」
「魔女の占いは予言のようなものです」
「そうなんスね。じゃあ応援の気持ちを込めてパンあげますね!」
「いりません!パンはアンラッキーフードですから!」
「そんなぁ〜」
少年はちょっぴり残念そうにした。
少年の気持ちはありがたいのだが、受け取るわけにはいかない。
「というか、リルフィアさん時間大丈夫スか?」
「え?」
「もうあと7分で7時スよ?」
リルフィアは目を丸くした。
会場にはあと7分ではとても着けそうにない。
嗚呼。今日は絶対ついてない。
魔女リルフィアはついてない。 友斗さと @tomotosato
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