部隊 ラッキー7

水乃流

見えざる敵を撃て

 俺たちの部隊は、通称『ラッキー7』と呼ばれている。もちろん、正式名称じゃない。俺たち7人が、どんな戦いでも必ず生還することから、いつの間にかついた綽名みたいなもんだ。ただ、言わせてもらえれば、俺たちが生き残っているのは“幸運”だったからじゃない、実力だ。そこを履き違えてもらっちゃ困る。


 “部隊”と名乗っちゃいるが、俺たちは軍隊じゃない。政府のある組織の1ユニットだ。ただし、非公式の組織だ。何しろ俺たちが相手をするのは、人外あるいは異形のものたち、得体のしれぬ者どもだからだ。簡単に言ってしまえば、人に──この国に害悪をもたらす者どもを、秘密裏に処理する部隊って訳だ。


 ある日のこと。

 部隊に与えられたとある高層ビルの一室で、のんびりとくつろぎながら、7人全員が待機していた時だった。

 ガチャン! と大きな音を立てて、愛用のコップが何の前触れもなく割れた。長いこと使っていたから、とうとう寿命が来たか。

「うわっ!」

 隊員の一人が手にしたペットボトルから、炭酸があふれ出した。

「ちくしょう、誰か俺のコーラ、振りやがったな」

「誰がそんなことするかよ、うがっ!」

 別の隊員が、敷いてあるカーペットに躓き、倒れかけた拍子にライトスタンドに頭をぶつけた。おいおい、注意力散漫だぞ。待機中とはいえ、気を緩めるな。

「いや、隊長、何かおかしい」

 そう言って副隊長が見せてきたのは、ブリックパックの乳飲料……ストローが穴の中に落ちてやがる。

「おかしいですぜ、隊長、俺もさっきからソシャゲのガチャがまったく当たらねぇ」

 ……ともかく、何かがおかしいと、上司に連絡した。人外を相手にする俺たちの組織は、アンナチュラルな現象についての専門家もいる。

 しばらくして、上司から連絡が返ってきた。「敵の“呪い”による攻撃だ」と彼は言った。それならば、対処は簡単だ。


■■■


「な、なぜだ!? お前たちは呪いによって『アンラッキー7』になっているはずなのにっ!」

 呪い攻撃を仕掛けてきた敵のアジトを急襲し、親玉に銃口を突き付けながら俺は笑った。

「呪いをかけてきたのは、あんたらが最初ってわけじゃねぇよ。ちゃんと対抗策も仕込んであるのさ。要するに、『アンラッキー』だったのは、お前たちってことだよ」


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