ラッキーな俺。
綴。
第1話 アンラッキー7
7月7日の朝7時に俺は産声をあげた。
「元気な男の子ですよ!」
「7が並んで何だかラッキー7だねぇ!」
と言われた。
織姫と彦星が一年に一度だけ出逢える、ロマンチックな日だ。
名前は七夕(なぎ)とつけられた。
幼い頃は近所で評判の可愛い男の子だった。
大きくなると
「元気ねぇ!」
と言われた。
あだ名は七夕(たなばた)になった。
「なぁー、たなばたー」
「なに?」
「お前、たなばたより、棚ぼただよなぁ…」
「何で?」
「棚からぼた餅って言うじゃん!」
と、ケラケラと笑われた。
俺は少し太っていて、眉毛がハの字だった。
(棚からぼた餅)って、ラッキーな感じだろ?
まぁ、いいや。
遠足や運動会はだいたい雨が降った。
「おぃ、たなばたー。お前雨男だろー」
「何で?」
「七夕の日は、天気が悪いってよく言うだろ。だから、いつも雨なんじゃねぇの?」
「織姫と彦星が皆から見られないように天気を悪くしてるんだろ。俺が雨男なわけないだろ!」
ふんっと鼻を鳴らしてやった。
高校に入ってダイエットをした。
ハの字の眉毛はカミソリで整えるようにした。
高校2年生になって1つ年下の女子に告白された。
嬉しくてすぐにOKして付き合う事になった。
7回目のデートでふられた。
「なんか思ってたのと違うし、いつも雨ばっかり降るから…」
社会人になった。
「へぇー、7月7日の朝7時に産まれたの?ロマンチックだねぇー」
飲み会の度に、酔っ払った上司に絡まれた。
懐かしい友人の結婚式に呼ばれた。
「結婚おめでとう!」
「おぅ、ありがとう!」
ガーデンウェディングだったが、雨が降ってガーデンの方には出られなかった。
休日にコンビニに買い物に行った。
「777円のお返しになります。なんか良い事ありそうですね!」
と可愛いい店員さんに言われた。
家に帰る途中、犬のう◯こを踏んだ。
俺の名前は七夕(なぎ)。
7月7日朝7時に産まれた。
最高のアンラッキー7な男だ!
ラッキーな俺。 綴。 @HOO-MII
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