777文字で完結させる挑戦 第六回 アンラッキー7

木村空流樹ソラルキ。

第1話 家族の会話

 娘がTVを見ながら呟いた。

「秋元監督がプロデュースしてたアイドルグループって何だっけ……?」

「神セブンが居たアイドル?」

 母は皿を洗いながら聞く。

「違う気がする……。7が付いたグループ、映画にもなってる。」

「アイドルはハローグループしか解んないわよ。東野圭吾が出してる小説は、レベル7だったし、ブラピが出てるのは12モンキーズだわね。ドクター風水でアンラッキー7ってのもあったわね。ラッキーセブンなら有名。スロットでも777は難しいわよ。」

 娘が訝しい顔をしている。

「何?急ぎで思い出せないと駄目なの?」

「いや、只、ムズムズするだけだけど……。思い出せないの嫌じゃない?」

「母さんなんて毎日よ。思い出せないのは……。老化よ。」

 玄関から音がする。

「ただいま。」

 父が帰って来たようだ。

 脱いた背広をソファーに乗せると、娘の横に座る。

「聞いてくれよ。今日朝卵かけご飯食べようと卵割ったら黄身が二つ出て来て、通勤中の自転車で膝に鳥が落ちて来るし、営業先で電車が遅延して70分遅刻するし、昼食べようとしたら割り箸が折れるし、工事中のアスファルトで靴がタールで黒くなるし、余りについてないんでパチンコで確変でラッキー7が出ても7000円するし、タバコはコンビに売ってないし、ジッポは当たらないし……。」

 娘が眉間に皺を寄せる。

「お父さんが買ってた煙草の銘柄って、LUCKYSTRIKEだよね。たしか、応募で当たる景品のジッポの名前がでラッキーセブン。煙草の景品すら当たらないのは、アンラッキーよね。」

 母が皿を拭きながら答える。

「その上、同じ様な事を7日連続で話しさてるわね。あなた。運が無いわ。ま、アイドルでも見て厄祓いでもしなさい。」

 タバコにちなんでアンラッキー7と云った。

 7人のアイドルが楽しそうに歌っている。アンラッキーが7個以上あるなら笑い話だ。

 家族は共に微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

777文字で完結させる挑戦 第六回 アンラッキー7 木村空流樹ソラルキ。 @kimurasora

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ