ラッキー・セブン・ダイス

chomocho@処女作執筆中

正八面体




 男は、不満を感じていた。




 ラッキー7セブン


 その数字を、男は好んでいる。


 そして、ダイス。


 ダイスは、1~6の星が掘られた6面、それぞれが対面する表と裏、その数を足せば必ず7となる。


 だから好き


 過去形であるのは、男は気付いてしまったからである。


 ダイスには6面しかない、と。


 そして、肝心要の、7という数が無い。


 子供じみた下らない発想。


 しかし、男は真剣に頭を悩ませた。


 何故ダイスには7が無いのか、何故ダイスには6面しかないのか、と。


 だから男は、ダイスを正八面体にする事を閃いた。


 新たに0と7を加え、自分の好きな数を入れたのだ。


 裏と表、足せば7となる事実は変わらず、7という数も入れる事が出来たのだ。


 しかしそれでも、不満は残ったままだった。


 7面ではなく、8面となったからである。




 ある日、男は決断を迫られる。


 様々な利権が絡み、気乗りしないままに参加した、小競り合い程度の戦争が、気付けば他の大国も参戦して第三次世界大戦へと発展してしまったのである。


 そして、あろう事か敵国が核兵器を使用。


 正義を謳う大国の長である男は、決断をしなければならなかったのだ。


 報復か、降伏か。


 正義を騙る大国として、降伏は有り得ない選択であった。


 男は、また頭を悩ませた。


 そして一つの結論を出す。


 自らが作った、ラッキーセブンダイスと名付けたダイスで決めてしまおう、と。


 馬鹿げた、とても論理的とは言えない所業である。


 しかし、理由など後付けで構わない。それがいつもの事であり、当然の事であった。


 だから意思決定の方法など、ダイスで十分であったのだ。


 そして、賽は投げられた。


 出目は──7。


 報復として、7発もの戦略核が投入される事となったのだ。




 後日、男が大往生した後に見付けられた手記から、7発もの核が放たれた本当の理由が発覚。


 そして、その核による悲劇は、後にこう名付けられたのだ。




──アンラッキー7──




 と。

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