私は、誰より、アンラッキー…。

七架のよりどりみどりのアンラッキー

「あぁあ…私は世界で一番、不幸アンラッキーだ…」


七架は、ボソッと呟いた。


七架の名前は、7月7日、7時7分にこの世に生を受けたことに由来する。母親は、七架が生まれた直後、『もう名前を決めた!にする!』と言った。そんな、安易な名前を付けられ、七架は本当にうんざりしていた。


何故なら、この後の人生は、に彩られたものになったからである。


幼稚園の時のあだ名は、『なななな』。なんともひねりの無いあだ名。しかし、男の子は、そうしたあだ名をつけて馬鹿にするのが仕事のようなところがある。まぁ、只の男の子ならまだいい。しかし、すきな男の子にまで『ななななだー!!へーんな名前ー!!』となじられるのは本当に辛かった。


中学に上がったら、身長が177㎝に達した。男子は七架を女子扱いしてはくれない。『でっけー!!ウル○ラマン7だー!!』とからかわれ、女子からも怖がられた。


そして、何より悲しかったのは、その積み積まれた経験から、何に対しても臆病になってゆく性格だった。『7』に関するキーワードが入るものは、嫌煙せざるを得なかった。七架にとっては、架、この名前自体が、よりどりみどりの『不幸』を運んでくるのだ。


しかし、高校で、七架は初めて告白された。憧れていたバスケ部の先輩だった。自分より背の高い男子はそうそういなかったし、一人ぼっちでいた七架にとって、人生でやっと訪れた幸せだった。七架は、もちろんその告白を受け入れた。


七架は、身長はあったものの、運動神経は無かった七架は、めでたく彼氏となった先輩を支える為、バスケ部のマネージャーになった。


しかし、1年後――…。





「ごめん。六華りっかのことがすきなんだ…」


とは、後輩のマネージャーの名前であると同時に、先輩からの別れの言葉だった。




家に帰った七架は、過去からのよりどりみどりのアンラッキーを並べ、ちょっと、フッと笑った。

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