賽は投げられた

龍神雲

賽は投げられた

 ある日不審なメールが1通届いた──


【おめでとうございます!貴方はアンラッキー7の当選者に選ばれました!本日23時にご招待いたします!】


 よくある詐欺メールだ。俺は気に留めずメッセージを消去した。

 仕事を終え家に帰宅し、時刻は23時になった。風呂に入ろうと服に手を掛けた刹那、


「ではご招待いたします」


 黒衣姿の見知らぬ男が脱衣所に現れた。次にまばたきをした時には簡素な机、鍵が掛かった鉄格子の鍵付きの扉、豆電球が1つだけ天井にぶら下がった、牢屋に似た狭い部屋に飛ばされていた。


「何処なのここは!?」


 女の金切り声がし、視線を向ければ同じような造りの部屋が7室、円卓状えんたくじょうに並び、女3名、俺含めた男4名の計7名が収容されていた。


「今から個別に謎解きをしていただきます。机の引き出しの中の謎を解けば解放しましょう。しかし正確に解かなければ貴方達に制裁を加えます。制限時間は1時間、では始め!」


 そして男は姿を消した。どんな制裁かは不明だがやばそうだ。早速、室内に設置された机の引き出しを開ける。するとそこには小学2年の女児殺害事件の新聞記事があった。犯人は未だに捕まらない、未解決事件だ。


『何か釣れた?』


『釣れてないよ』


『そっか。またね』


 当時俺は川で釣りをし、被害者の女児と少し会話をしていた。だがそれだけだ。それ以上も、それ以下もない。それから1時間が経過し、男が再び姿を現し問うた。


「謎は解けましたか?」


「ああ。ここに集められた7人全員、被害者と接点があり、誰かが手を差し伸べれば被害者は殺されず、事件も起きなかった」



 男の語調は低くなり、俺に目を据えた。


地獄の扉ヘルズゲートは開いた。貴様は一生、不幸アンラッキーを背負え」


 強運な俺の運もここで尽き、後日、逮捕された。そしてこの部屋に集められた後の6名も別件で逮捕され、檻の中で犯した罪と向き合い、最期の審判に怯えている──

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賽は投げられた 龍神雲 @fin7

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