第8話
「よし…!これでトドメ!」
最初に鼠を倒してから二時間程経ち、今は六匹目の鼠を倒したところだ。
ニ匹目まではぎこちなかったが、三匹目からはしっかりと戦えてる。ただ、魔物を倒すのはすぐに終わるのだが、見つけるのに時間が掛かる。
まあ、これが多いのか少ないのかは分からないが。
それにまだ鼠以外を見ていないから、ここら辺には鼠しかいないのかもしれない。
「そろそろ疲れたであろう。休憩にしよう」
「わかった」
アシェルに言われて近くの木に背を預け座り込んだ。アシェルも俺の近くに来て一緒に座った。森の中を歩くのは戦闘するより体力を使う。これしかないとはいえ制服で来るところではないな。シャツなんか汗でびしょびしょだ。
「待っていろ、今水を出してやるから。『クリエイトウォーター』」
アシェルはそういった後、目の前に直径三十センチ程の青い魔法陣が現れた。そしてそこから球体状の水が出てきた。
「もしかして、今の魔法か?」
「そうだ」
「俺も魔法を使えるようになりたい!」
「魔法は技術だから、学べば誰でも使うことはできるぞ。何処まで出来るかは星力量と才能次第だがな」
てっきり、この世界には特殊な能力だけで魔法なんか無いと思ってた。それでも今までの日常ではありえない事だったので、能力が使えるようになっただけで良かった。が、魔法があって、しかも俺も使えるようになるなんて思うとすごくわくわくする。
「そんなにキラキラした目で見るな…。はあ、後で教えてやるからさっさと飲め」
「ありがとう」
俺はそんなに顔に出てただろうか。まあ、期待を込めてアシェルを見つめていたので間違って無いのだが。
俺は両手で入れ物を作り差し出した。そこに水球がゆっくりと落ちてきて両手いっぱいに水が入った。
その水を飲む。水は冷たくて戦闘で火照った体が冷やされる。味は普通の水との違いは無かった。
アシェルももう一つ水球を出して飲んでいる。やっぱり何度見ても魔法はすごい。
その後は、アシェルに軽く魔法について教わりながら暫く休んだ。
「そろそろ良い時間だな。よし、これで今日の狩りは終わりだ。その鼠を解体して神社に戻るぞ」
「さっきまで解体なんかしなかったじゃないか」
「全部解体していたら邪魔になる上に、そんなに必要では無いからな」
「……まさか食うのか?」
「帰りながら野草も採るがそれだけでは足りないであろう?」
「まあ、そうだが…」
渋々俺はアシェルに指示されながら鼠を解体した。鼠は一メートル程なのでそこそこの量の肉が取れた。取れた肉は近くに生えていた大きな葉に包み、皮は脆くて使い道が無いらしいので、内臓や骨と一緒に穴を掘って埋めた。
埋めるのは臭いを周囲に広げないようにするためらしい。じゃないと、臭いを嗅ぎつけた肉食の魔物が寄ってきて危ないのだとか。
解体も初めてで慣れていない為、時間がかかった。急いで帰らないと神社につく頃には真っ暗になってしまう。
俺達は急いで荷物を持って神社に向かった。
穴に落ちたら異世界で神の少女と出会った @rutuki
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