大森さんはよく食べる。脂肪を筋肉と言い張る。

大舞 神

第1話 大森さんはよく食べる。

隣の席の大森さんはよく食べる。

昼休みのドカベンはもちろん、授業ごとの休み時間もなにか食べている。

なんなら授業中も隠れて食べている。


(早弁とか、初めてみたんだが)


大森ごはん。

大森さんのアダ名だ。

苗字よりも長くなるアダ名とか残念。

身長の高い美少女なのに、大食いのせいで残念女子カテゴリーなんだよ。


「二段君どうしたの? 食べたいの?」


二段とは俺のアダ名だ。


「食べないよ」


「そうなの? 大きくなれないよ??」


あと頭が弱い。

男だったらぶっ飛ばしてるのに。


「大森さんみたいに脂肪つけたくないから、食べないよ」


大森さんはたしか175センチくらいあるんだよな。

太ってもないけど、痩せてもいない。

健康的なスタイルだ。

ムチムチボディとも言える。

クラスの男子からはエロいと人気である。


「……いやいや、脂肪なんて、萌香ついてないよ、なに言ってるの二段君」


目がガチで怖いんだけど。

師範クラスの殺気飛ばしてきてるんだけど!?


「これ全部筋肉だから筋肉」


たぷたぷの二の腕を見せて何を言うのか。


「これも筋肉だからカッチカだから」


ムチムチの太もも。

スカート捲るなよ。

こっちがカチカチンになるわ。


「勝負だよ! 二段君!!」


「は?」


大森さんは俺の机の前に来て肘を机に乗せた。


腕相撲の格好だ。


「萌香が勝ったら、さっきの発言の撤回を要求します!」


「なら俺が勝ったら揉ませてもらうぞ。 その脂肪を」


俺の机の上に垂れている脂肪の塊をなッ!


「にゃっ!?」


俺の身長は155センチしかない。

しかし小学生の頃から空手で鍛えた筋肉がある。

本物の。

カッチカチの筋肉みせてやんよ!


「ななっ、なんんあんんで!? なんで脱ぐのっ――!?」


俺がシャツを脱ぎ捨てると、聞き耳を立てていたクラスメイトたちが沸いた。

もう大森ごはんは後には引けない。


どちらの筋肉が本物か?


「勝負!」


ガシッと握った大森さんの手は、とても柔らかくて湿っていた。



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大森さんはよく食べる。脂肪を筋肉と言い張る。 大舞 神 @oomaigod

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