「町田さんは5月で退職することになった」
「え?」
急に来た上司がそう告げた。
町田さんは60歳越えの嘱託社員だ。
たいした仕事もしていないが、彼がいなくなると俺の休みがなくなる。
5月退職?
このタイミングで??
「な、なんでですか?」
「まぁ色々とな。 本人の自主退職という形になるから安心しろ」
嫌、それ安心するのはお前だけだから。
「代わりに二人社員を入れることになっている」
「なるほど」
なんだ驚かせないでくださいよ。
たしかにそれなら問題ないか。
奴が居なくなってからなんだかんだしんどかった。
やっと補充が来る。
「新人二人だからよろしくな」
「え?」
「中途だが若くやる気はあるぞ」
「え?」
ちょっとまてやごらぁーー!?
それは、ちょ、え?
それは話が違うでぇええええええええええ!!
ただでさえ仕事が回らないのに新人二人に仕事を教えるとかふぁっきんですよ?
「……承知しました」
罵詈雑言をぶつけようと思ったが、すべてを諦めた。
なにるようにしかならない。
人生なんてそんなもんである。
そうだ、転職しよう。