追放される最強無敵の美しき錬筋術師マッソー! ~いずれ筋肉神に目覚め、世界を統治する筋肉に栄光あれ!

どくどく

追放されるマッソー!

「マッソー! キミをこのパーティから追放する!」

「な、何故でごわすか兄貴! おいどんの筋肉に落ち度があったというのですか!?」

「いや、そう言う所だから」


 勇者ニッキーの追放宣言に、驚くマッソー。


「えーと、マッソー。キミのジョブは何?」

「おいどんのジョブは錬筋術師でごわす!」

「いや、キミのジョブはただの魔法使いだから。そのジョブはキミが勝手に言ってるだけだから」


 自らの正しさを主張するマッソー。その言葉を否定する勇者ニッキー。仲間達は議論したくないとばかりに呆れた顔をしている。


「君はこのパーティでよく働いてくれた。その多大なる支援魔法で皆を強化し、君自身も前衛で戦ってくれた。それは確かだ」

「お褒めに預かり恐悦至極でごわす!」

「あ、うん。結果だけ見たらすごいよ。だけどなんで魔法使いが前に出るのかな? しかも武器も防具もなしで」

「武器も防具もあり申す! この鍛え抜かれた筋肉! これさえあれば問題ないでごわす!」


 言っておもむろに服を脱ぎ、ポージングを決めるマッソー。フロントリラックスポーズ。仁王立ちになり、あしを少し広げて肩を少し怒らせる。広背筋を大きく広げ、大胸筋と外腹斜筋と大腿四頭筋に力を込めた。


「そうだね、凄いね。でもそれを見せられるぼくたちの気持ちにもなってほしいんだ」

「ぬぅ! 確かにおいどんの筋肉はまだ未熟! 衆目に晒すのはまだ早かったという事でごわすか!?」

「え? あ、うんうん。そうそう。決して毎回戦闘の度にキミの筋肉見せられるのがイヤだとか困るとかそういう事ではないよ。そういう事だから」

「分かり申した! ではおいどんは山に籠って筋肉を極めてくるでごわす!」


 いろいろ行き違いがあったが、こうしてマッソーは勇者ニッキー達から追放された。


 そしてマッソーは山にこもって筋肉を鍛え上げる。数十年後にマッソーは筋肉神となり世界を救うのだが、それはまた別の話――

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