マチョの集落~我々は迷いの森のその奥で、外界から閉ざされた世界で生活する異様な人々を見た!~

青猫

本編

「隊長、本当にそんな伝説が存在するんですか~?」

「あぁ。街の人によると、この森に、その集落があるらしい」


俺は、如月ミント。言い伝えや伝説を糞真面目に追いかけ、記事にすることでなんとか生計を立てている、フリーライターだ。

……まぁ、魔法文明が発達したこの社会で、こんな伝説がまともだったためしはない。


湖に住む恐竜を調査してみたら、単なる子供のいたずらだったり、

空飛ぶ島の伝説について調査を進めたら、単に大魔法使いの住居だったり。


大概の伝説はまぁ、しょうもないことが真実だったりする。

世の中、ありとあらゆるものが魔法によって調べつくされていて、俺たちが大発見をすることなど、到底できやしないのだ。


「この森の中に伝説のマチョの集落が存在する!」

「……本当にそんな話、信じていいんですかぁ?」


うちの隊員こと、俺の部下であるカールは、ぶつぶつと文句を言っている。


「近くの町で情報を集めたはいいんですけど、まともに集まらなかったじゃないですか!」

「まぁ、確かにそうだが……」


俺達が今、捜索しているのは、『マチョの集落』という伝説だ。

これはここら一体では有名な伝説で、この森の中に『マチョの集落』という集落があるのだ。

その場所は、楽園とも、また地獄とも言われる場所で、噂を収集しただけでも情報は完全に二分した。


「えへへ……あそこは天国ですよ、また行きたいなぁ……」


と語っていたのは近くの病院で医療師を務めるAさん(23)。

彼女はそのことを思い出すと、じゅるりとよだれをぬぐっていた。

また一方で、反対の意見は、


「……あそこは地獄だ。も、もう二度と行きたかねぇ……」


そう語るのは、冒険者をしているというBさん(34)。

彼は自分の震えを抑えつつ、如何にも思い出したくないといった感じで首を振っていた。


「それにしても、この森、あんまり広くないですね」

「あぁ。でも、気を付けろ。ここら辺には何故か迷いの魔術が広がっていて、あっという間に道に迷い、気づいたら入り口に戻ってしまう、という話だ」

「うわ、自然発生の魔術ですか?いやですね……」


そう言ってはぐれないように気を付けてついてくるカール。

とす、とす、と足音が響く。


しかし、その足音は突然途絶えてしまった。


「?……カール?」


名前を呼ぶが返事がない。

俺は後ろを向いた。

さっきまで一緒にいたはずのカールが消えている。


「嘘だろ……やっぱ手ぇ、つないでおくべきだったか?」


しかし、今更反省してももう遅い。

仕方がないので、歩みをすすめる。


すると、霧が出てきた。

そして、霧がだんだんと濃くなる。


「まじかよ……」


これは、自然な物じゃないな……何かしらの意図がある。

おそらくは防衛。

俺は手元にあった魔道具を起動させる。

それは、自身の周囲に魔術除けを発生させる装置であり、ある程度の魔術なら、これで無効化ができる代物だ。


しかし、それを用いても、どんどんと濃ゆくなる霧。


「嘘だろ!これ、上から二番目の魔術も無効化できるいい奴なのに」


霧が濃くなり、足元も見えなくなる。


「くそっ!?こんなんで諦めてたまるか!」


俺は無我夢中で歩き続けた。

するとだんだんと霧が晴れてくるではないか。


「おわっ!?」


目の前にはいくつかの住居と人が見える。


……どうやら到着したみたいだ。


「ここがマチョの集落……」


そう、そこには。


筋骨隆々の男女が農作業やらなんやらに勤しんでいる場だった。


「こ、これがマチョの集落……」


そう、マッチョの集落、マチョの集落。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

クソみたいなオチでごめんなさい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マチョの集落~我々は迷いの森のその奥で、外界から閉ざされた世界で生活する異様な人々を見た!~ 青猫 @aoneko903

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ