今年もはじまりました、角世夢高校美ボディ大会!

exa(疋田あたる)

第1話

「さぁーて今年もはじまりました! 角世夢高校美ボディ大会! 司会は私、放送部部長のメガネの細井がつとめさせていただきますっ。いっしょに盛り上げてくださるコメンテーターはこの方! 先日の校内美少女コンテストにて最優秀の栄冠を手にした大和撫子、こと一年A組の撫子ヤマトさんっ」

「撫子ヤマトでございます。皆さま、先日はたくさんの応援とご投票、ありがとうございました。本日もまたよろしくお願いいたしますね」

「はい、ありがとうございます。はーい、はいはいはい。そこ、三年B組の方。美少女の笑みに盛り上がりすぎですからね。落ち着いてビークール始められませんからね。興奮しないで」

「しずまりなさい」

「わー。すごい、さすがです。鶴の一声、美少女の一喝。うるさい輩を周囲の腕力でねじふせてら……救護班、後始末頼みますね。ヤマトさんありがとうござ」

「撫子とお呼びになって」

「あ、圧が強い。はい、撫子さんありがとうございます。皆さんもね、ご協力ありがとうございます。はい、それではそろそろはじめましょうか。見せたい気持ちが抑えきれない野郎どもが、舞台袖からチラッチラしてますからね。引っ込んでね。まだ脱がない。はい、係の人は戻して戻して」

「そういえばメガネの方」

「あ、メガネがメインなんですね。いや良いんですよ。よくあることです。はい、何でしょう撫子さん」

「本日の大会について、わたくし寡聞にして存じ上げないものですから。よろしければご教授願えますかしら?」

「おーい、誰だよ大会案内渡しそびれたやつぅ。いやいやこれはむしろチャンスですね。撫子さんに解説するという理由の元、本大会の理念についてあらためて皆さまにお伝えするチャンス!」

「あら、ポジティブな殿方は嫌いではありませんわ」

「お褒めに預かり光栄です。美少女に褒められて気分も上がってきたところで、お話します。この大会の理念はずばり、美しいボディ・すなわち筋肉を愛でることでございます!」

「筋肉、ですって?」

「おや、撫子嬢、目の色が変わりました。ですがそろそろ自慢の筋肉たちを披露したくてたまらない野郎どもが待ちきれないようですので、参加者紹介はじめちゃいますね! まずは参加登録一番乗り、筋肉のノリも一番なのか!? ナンバーワンの、宗篤くんです!」

「あら、分厚い胸板」

「さすが、撫子さん。お目が高い。彼のウリはその胸板の厚さ! 胸囲、百二十三センチ、喜べ巨乳好き、バストサイズはFカップ! 自慢のバストのカップサイズは彼女以上だぁッ!」

「その情報、ご自分でお調べになったのですか?」

「あ、いえ。本人が推薦文を用意してるので、カンペ読んでるだけです」

「そうでしたか。メガネの方が体の一部分だけで人を判断する方でないとわかって安心いたしました。あら? 会場が静かになってしまいましたわね。ちょうどよろしいわ、続けてくださいませ」

「はい。えー、はい。続けましょう。粛々と進めましょう。えー、二番手は日部くんですね。特筆すべきはむっちむちの大臀筋。あまりの魅力に通学電車内で「おじさん、男の子には興味なかったんだけどねえ」と痴漢の人の宗旨を変えさせてしまうほど! ちなみに痴漢の方はむっちむちの大臀筋に挟まれて手が抜けなくなったところをお縄となりました、とのことです。世間の役に立つ筋肉! すばらしい!」

「お手柄ですわね」

「はい。撫子さんに褒められて日部くんの大臀筋も大喜びしているようです!」

「そのあとにも筋肉自慢の殿方がいらっしゃるようですね」

「そうですね、参加者はこの他、三名と……あれ? 一番最後のカンペに撫子さんのお名前が……?」

「ええ、恥ずかしながら」

「ちょっ、なんで脱ぐんです!?」

「わたくしも肉体には自信がございますから、参加させていただきました」

「ひえっ! 黒ビキニ! わあ! 胸をメガネに寄せないでッ! やわはだ、やわ……く、ない?」

「ほほほ! おわかりになります? 美しい所作には鍛え上げられた肉体が不可欠! ゆえにわたくし、小兵ながらも、総合的な肉体美でしたら殿方には遅れを取らないと自負しておりますわっ」

「あっ、ちょ! こ、コメンテーターが舞台にあがるぅ! これは前代未聞! 混戦の模様を呈してきた本大会、熱気でメガネがくもってきて、ちょ、見えないんですけどー!?」

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今年もはじまりました、角世夢高校美ボディ大会! exa(疋田あたる) @exa34507319

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