主婦の戯言(ざれごと)

お散歩を 日課にしたんだって。

お年寄りに、ありがちね。

けど、

朝の散歩は、体に良いのよ。

それなら、

ワタシも始めようかしら?

けれども、

それなら、

一体、

何時に起きれば いいの?

朝ご飯の支度もさることながら、

お弁当だって作らなきゃ。

お洗濯は、前の晩に干しとくとして。

ふぅ〜。



−−−お年寄りの朝は、早い。

お日様と共に起き出して。

だから、

朝、散歩に出かけてくれた方が、

主婦の仕事は やりやすい。

朝から あれこれ

言われたくないし。

それでいて、

朝のお散歩で、

ボケずにいてくれるなら、

体が衰えずにいてくれるなら、

いいのだけれど。

…なんて、内心思っても、

口には出せない。

替わりに、


「筋トレ、ワタシも始めたいなぁ~」


変な事 口走った。

それなのに、


『毎日が筋トレみたいなものじゃない?

 家に居て、

 ゆっくり座っている時間ときなんて、

 ある?』


…たしかに、ない。

家に居る時間は、

ずぅーと、立ちっぱなしだ。

朝ご飯なんて、お弁当のおかずの味見で終わるし。

昼間は、仕事で立ちっぱなし。

夕飯だって、御勝手だいどころで立ったまま、何かをつまんで、

それで済ませてる。済ませるしかない。

座ってゆっくり食べる時間もないくらい、

兼業主婦は、忙しい。

専業主婦の時だって、

子どもの世話やらなんやらで、

ゆっくり過ごす時間はなかった。

あらためて、

座っている時間なんて、存在していないことに気付く。


「うぅ~ん、

 それにしては、体力落ちてきてるのよね」


「毎日が筋トレみたいに多忙なのに、

 ちっとも痩せない」


『それな!』


思わぬツッコミに、笑いが転げる。

現実を嘆いても、仕方しょうがない。

明日からは、

家事でもするか…


「お散歩できたら、優雅な生活…」


またも、ポロリと こぼしてしまった。


『おばあちゃんになったら、

 一緒に、朝の散歩する?』


いつまでも、笑い会える仲でいられたらいいな、

と 思った。


 













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所感 【KAC20235】 結音(Yuine) @midsummer-violet

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