I need 筋肉
浅川さん
I need 筋肉
「わしは神様」
突然そんな声が聞こえた。驚いて目を開くと、そこは神殿のような場所だった。こんなところに来た記憶はない。目の前には白髪の杖をついたお爺さんが立っていた。
「君はちょっと不幸な死に方をしたから今一度チャンスをあげようとおもって。なんでも一つ願いをかなえてあげよう」
「ん、えっと、ちょっとまって…ください。これ現実?え?死んだ?」
「そう、死んだ」
神は即答した。
「ええっと、どこで?どうして?」
僕がそう尋ねると神は懐から分厚い本を取り出し、パラパラとページをめくった。
「ふむ、君は同級生の少女を助けようとしたらしい。場所は学校の屋上」
その本にはどうやら僕の人生でも書いてあるようだった。
「そこで何があったんですか?」
「ふむふむ、どうやら少女は想い人に振られたらしい。それで自死しようと思い、屋上の扉を破壊した」
「扉を破壊」
想像よりパワータイプな少女だった。
「その音を聞きつけた君が屋上に現れる」
なるほど。それで少女を助けようとしたと。
「君は彼女を説得しようとするが、その際に不要な一言を言ってしまう」
「そ、それは?」
「振られたぐらいで死ぬなよ!俺はその大胸筋好きだぜ!」
ああ、それは駄目かも。
「その一言が彼女の逆鱗に触れ、君はぼこぼこに殴られた挙句投げ飛ばされた」
ああ、だからその時の記憶がないのかぁ。
「投げ飛ばされたとき、屋上のフェンスを越えてしまいそのまま転落しそうになるが、かろうじでフェンスにしがみつく」
すげー投げ飛ばされてる。もう次期霊長類最強を名乗っても良いのでは?というか、頑張れ僕!まだ落ちてないぞ!
「そして、彼女が「これは大胸筋じゃない!脂肪だ!!!」と言ったのがツボに入り笑いながら転落。死んだのだ」
死んだー!!!
確かに不幸な死に方だった。神は本を閉じて懐にしまった。
「それでは改めて、なにが欲しい?」
それは勿論
「I need 筋肉」
I need 筋肉 浅川さん @asakawa3
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