ラッキーセブンが懐かしい

みちのあかり

名前

 俺、セブン・富野とラッキー・真田は、養成所で知り合いコンビを組んで3年目の漫才師だ。コンビ名はラッキー・セブン。通称「ラキセブ」。しかし、なんとも売れる気がしない……。いや、これからだ!


 そんな時、同期のコンビが解散した。相方が諦めて田舎へ帰るためだ。残ったのは性格に難があるが、天才肌の「&夏」。本名は安藤夏生。同名に近い先輩がいるので、講師に付けられたらしい。


 これがチャンスと真田と二人で&夏を口説き落とし、俺たちはコント集団として生まれ変わることになった。



「アン・ラッキー・セブン」これが新しいトリオ名。ラッキーセブンに&が加わったので、当然といえば当然の名前なんだが、本当にいいのか?


 天才&夏の作演出。おとぼけキャラのラッキーがふんわりした空気を作り、&がさらにボケる。そこにツッコむ俺。


 劇場で人気が付き、小さな賞をいくつも取って、それなりに人気が出始めた。


 コントのナンバーワンを決める大会に出よう! そう決めた俺たちは、とうとう決勝にコマを進めた。


 打ち合わせが多い。テレビで大々的に流すため、いろいろなVTRを取ったりインタビューを受けたりした。


 その頃には、アン・ラッキー・セブンは「アンラキ」と呼ばれていた。


 「アンラキ」……セブンの存在感はどこに? &とラッキー、お前らいいよな。俺のセブンが入ってないよ!


「アンラキのみなさん。トリオ名はみなさんのお名前から付けたと、お聞きしましたが」


「はい。&のアンと僕のラッキー、それとセブンから取りました」

「では、アンラキは……」

(セブンないじゃん!)


 俺はいつも心のなかで叫んてでいる!


 &が入って売れるようになったが、俺のラッキーセブンは、文字通りアンラッキーセブンになってしまった。


 ラキセブ時代が懐かしいよ……

 誰か……セブンを混ぜて〜!


 そんな心の苦しみは、誰にも伝わらない。


 俺のアンラッキーセブンな話だ。

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ラッキーセブンが懐かしい みちのあかり @kuroneko-kanmidou

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