戦乙女の秘密 ―ぷりてぃーまっする―

ぶらボー

せくしー大作戦

 マッスルボス博士はある疑問を抱いていた。


 ライトノベル・アニメ・ゲーム……様々な媒体でボンキュッボンの美少女がやけに肌面積の多い衣服で強大なモンスターや上位存在の類をちぎっては投げちぎっては投げしているのだ。


 この際、ミス・コンテストも真っ青なボンキュッボン美少女がわんさかいることと、へそ出しで太もも全開の鎧に関しては横に置いておくとしよう。


 問題はそう、筋肉である。あんな細っこい腕の一体どこにベ〇セルクじゃねえんだからと言いたくなるような重い武器を振り回し、人智を超えた魔物の類を肉塊に変えてしまうパワーが眠っているのか。


 マッスルボス博士はこの謎を解くべくアマゾンへと飛んだ。




 ◇ ◇ ◇




 ――剣と魔法のファンタジー世界。


 マッスルボス博士はアマゾンの熱帯雨林でワニの餌食になり、無事にファンタジー異世界への転生を果たした。ついでに転生ボーナスとしてハゲてた頭がフサフサになった。


 早速モンスターをぶっ〇せるバトル美少女を探さなくてはならない。ファンタジー世界における冒険者探しの定番スポットと言えば……そう、冒険者ギルドである。


 程なくして「飲み放題」「カラオケ個室・座敷席あります」と書かれた妖しいネオン看板を掲げた冒険者ギルドを発見。中に入り、それらしいのを探す。


 カウンター席を見ると、剣を携えた女性が座っている。チャンスである。マッスルボス博士はインタビューを試みる。




 「二の腕か太ももを触らせていただいてもよろしいでしょうか。」




 刹那、女性のアッパーカットがマッスルボス博士の顎を捉えた。どう聞いてみてもセクハラ発言、当然の仕打ちである。


 宙に浮いたマッスルボス博士の体を女性の剣が襲う。ついでに周りの野次馬連中もなんか火の玉とか電撃とかの魔法や毒矢やetc.をいっぱい撃ち込んでくる。


 マッスルボス博士は血しぶきをあげ、黒焦げになり、バラバラになりながら思った。


 そもそも現実世界と創作物の世界・異世界とを同列に考えることがナンセンスだったのだ。


 ファンタジーは超自然的で現実とは違う不思議なことがいっぱい起こるからファンタジーなのであって、現実の尺度で同じように考えようとするからややこしくなるのだ。ファンタジーの世界なら細い腕でモンスターをやっつけちゃう超絶美少女だっていたりするのだ。ファンタジーなんだから。


 あと、逆に漫画やゲームの世界の考え方に浸かりすぎて現実世界での生活に支障をきたすのもよくない、非常によくない。たまには外に出て友達や家族と会話をすべきだ。カクヨムのよいこのみんなは気をつけよう。


 というわけでファンタジー筋肉について一応納得したマッスルボス博士は、安らかな笑みを浮かべて粉々に吹き飛んだ。不審者をやっつけた冒険者ギルドには今日も平和にボンキュッボンのバトル美少女達が仲間を求めて集うのであった。


おわり

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