俺が信じるものと彼女の嘆き
冴木さとし@低浮上
最終話 その考えは穏便に言っても致命傷
俺は
そんな俺には付き合っている彼女がいる。可憐で華奢な彼女と付き合い始めて1ヶ月。ほやほやだ。そんな俺の彼女に大胸筋をみせつけて「キャーカッコイイ―!」なんて二人きりで言われてる時がたまらなく幸せだ!
初デートもスポーツクラブで、俺の筋肉を育てている様子をこれでもかと見せつけた。俺のことを彼女には知っておいてほしい。うそ偽らざる気持ちだった。だから俺は彼女には見ていて欲しかったのだ。
俺たちの交際は順風満帆だと思っていた。ところが、知らない優男と俺の彼女が腕を組んで楽しそうに歩いていた。俺はその場で「ちょっと待って。これは一体どういうことなんだ?」と問い詰めた。彼女は
「省負郎のことは好きだけど、休日のデートが省負郎の訓練をただ見ていろ、なんてつまらない。努力の過程は見せつけるためのものじゃない。一緒に楽しむもの。ついでに言っておくと、鳥のササミばかり食べ続ける省負郎との生活に、私はきっと耐えきれない」
と俺を
彼女は腕を組んだ男と捨て台詞を残して去って行った。こんな理不尽なことがあるだろうか。けれども俺には愛する大胸筋と腹筋、背筋、その他諸々の筋肉たちがいる。
鍛えれば鍛えるほど俺の期待に応え、さらにたくましくなっていく。俺の鍛え上げた筋肉たちは文句なんて絶対に言わない。俺が音を上げるまでトレーニングに付き合ってくれるのだ。そんな筋肉たちを俺は信じようと思った。
俺がもっと筋肉を鍛え上げていれば、彼女は俺を捨てるなんてしなかったに違いない。だって
終
俺が信じるものと彼女の嘆き 冴木さとし@低浮上 @satoshi2022
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