非力な俺、力をつける!

猫兎彩愛

第1話

「私、力の強い男の人って憧れるんだー。お姫様抱っことかしてもらいたい」


 隣に座っている幼馴染みの彼女がふと、そんな事を口にした。


 俺は彼女の事を密かに好きだ。


 そんな彼女が『力の強い男の人に憧れる』これを聞いた俺は頑張るしかない。


 どちらかというと、俺は弱い。


 見た目にも強そうとはいえない姿……ケンカは弱い。いや、弱いと分かっているから、強い奴からは逃げる。これが俺だ。


 こんな俺じゃ、彼女が好きになってくれる筈がない。


 俺は、力をつけるためにトレーニングを開始することにした。


 力を付ける……と、いえば『筋肉』をつけること。筋肉といえば、まずは何か? 考えた結果……


『筋肉』といえば、プロテインだ! と、いうことでプロテインを買いに行ってみる。


 店に行き、プロテインを探す。プロテインといっても、種類は様々で色んな味がある。暫くどれが良いか考えてみたが、全然分からないので、店員さんに『筋肉』をつける為にオススメなプロテインを聞き、購入した。


 味はカフェオレだ。これなら続けられそう。


 プロテインも買ったことだし、早速明日からトレーニング実践しよう。


 ――次の日


 今日は休日なので、朝からジムに行くことにした。行く前にプロテインを飲む。


 美味しい! これで筋肉がつくなら良いよな。なんて考えは甘いか……


 ジムには色々なトレーニングマシンがあった。どうしたら良いか全く分からなかったので、ジムに居るトレーナーさんに色々聞いてみる。すると、まず先にしっかりとストレッチすることを勧められた。

 直ぐにトレーニングマシーンを使ってみたかったが、怪我してもいけないし、言う通りにストレッチからしてみる。

 ストレッチといっても、馬鹿に出来なかった。暫く運動なんかしていなかったから、身体が硬くて痛い……その後したランニングマシーンも、10分走るだけで疲れてきた。


 俺ってダメダメなんだな……


 落ち込みながらも、先日の彼女の顔を思い出す。

『お姫様抱っこされてみたいー』


 と、言っていた彼女。


 とにかく頑張ろう……


 そう決心してから、一年。ジムに通い続けた。


 ストレッチは軽く出来るようになったし、トレーニングマシーンも色々使えるようになった。ランニングマシーンも今では1時間走っても大丈夫。見た目にも変わってきたと思うし、『筋肉』もついてきたと思う。


 今日は幼馴染みの彼女とデートの日。

 俺は今日、彼女に告白する。


 お姫様抱っこをして彼女に……











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

非力な俺、力をつける! 猫兎彩愛 @misausa03

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ