登山キャンプで夜の散歩を

葉山 宗次郎

第1話

 横になったが眠気が来ない。

 日中重いザック、登山道具は勿論、テントや寝袋が入った二〇キロの荷物を背負って一〇キロの山道を歩き回ったからか、疲れすぎて筋肉の痛みで眠れないのだろうか。


「少し散歩するか」


 軽く運動するつもりで散歩に出ることにする

 寝袋から出て外に足を出し登山靴を履く。

 フック式とはいえ編み上げ靴は変だが仕方ない。今度はサンダルを入れてくるべきだろうか。荷物になるが編み上げるよりかはマシか

 準備を終えて散歩を始める。

 キャンプ場内は昼間一通り見ているので大体の位置がわかる

 灯りが少なくても歩いて行くことができる

 ヘッドライトを持っているがあまり使いたくない。

 暗順応がなくなるのと視野が狭くなる。

 それに空を見上げる時、星が見えにくいのだ。

 一通り歩いてキャンプ場の周回場所に行ってくるふと目を向けると東京の都心が見れた。

 案外近くに見えるため多くの人は秩父の市街地ではないかと勘違いする。

 だが雲取山からだと山が間にあるため、秩父市街地の灯りは見えない。

 見えるのは東京の夜景のみだ。

 人口一千万を超すメガシティだが、二〇〇〇メートルの山から谷間を通して見下ろすと、まるで蛍が谷に集まって踊ってるような光りの集合であり美しく見とれる。

 テーブルにたどり着くと、少し喉が渇いた。寒いので持ってきた魔法瓶を取り出し固形のおしるこを半分に割って入れる

 魔法瓶のお湯を注ぎ指で掻き回した後、飲み始める。

 口の中に、小豆の香織とほんのり温かく甘い味が広がり身体がリラックスしていくのを感じる。

 星空と東京の明かりを見てもう一杯飲みたくなる。

 残り半分を使ってもう一杯飲むと、温かくなったためか少し眠気が出てきた。

 そのままゆっくりと自分のテントに戻って行く。

 これなら眠れそうだ。

 夜の散歩というのもなかなか乙なものだ

 ただお汁粉を飲み過ぎてしまったため夜中になってトイレに行きたくなって飛び起きてしまった。

 翌朝が少し寝不足で下りがつらかった。

 散歩は良いが寄り道はほどほどに。

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登山キャンプで夜の散歩を 葉山 宗次郎 @hayamasoujirou

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