第4話 典型的な還付金詐欺
市の広報に特殊詐欺対策室の電話番号が載っていました。そこに電話すると若々しいけれど疲れた声の警察官が応対してくれました。さっきまでの電話の話をすると「それは典型的な還付金詐欺ですね」と退屈そうに言いました。
「もう電話は取らないでください」
―― ええ~、それだけ?
「あのう、電話番号を知られてますし恐いんですけど、やって来たりしたら、どうしましょう」
「いや、還付金詐欺の連中は顔を見られるのを極端に恐がるんです。来たりしませんから、大丈夫です」
そんな野生のカミツキガメの生態みたいなまとめ方でいいの?
え? これでお終い? 捜査とかしないの? いいの、そんなので?
あっけない幕切れでした。
翌日になっても、三人目の電話は掛かってきませんでした。
銀行に行ったら、どんな指示を受けるかまで書けなくて残念です。
おかげさまで詐欺には引っ掛かりませんでした。
思い返すと最初におかしいなと思ったのは、キャッシュカードを持ってきてと言われたときでした。他人のお金を盗むことが平気なんだから正気ではないのでしょうが、毎日毎日朝から晩まで詐欺電話かけてる生活って、どんなだろう。他人に騙されるなんて一度も想像したことのない優しい人を騙して、自分がどんどん穢れて人の形をした汚物になっていくのに、それに気づくことさえ出来ない。
この世にはリアルに悪い奴がいるんだと身に染みた出来事でした。
<大事なこと> この世の中には、人を騙す人がいる。
<了>
ストップ詐欺被害 わたしは騙されそう 来冬 邦子 @pippiteepa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
俳句スイッチ・エピソード参/来冬 邦子
★37 エッセイ・ノンフィクション 完結済 17話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます