深夜の散歩で出会った

KKモントレイユ

深夜の散歩で起きた出来事は

 今日は嫌な仕事ばかりだった。私は家に着くなり疲れてベッドに倒れ込んだ。どれくらい寝ただろう。気が付くと十一時を過ぎていた。

「明日も仕事だ」

憂鬱になる。

 シャワーを浴びスッキリしたところで、何か食べたいと思い冷蔵庫を開けたが何もない。

 近くのコンビニに食べ物を買いに行こう。そう思い部屋を出た。飲み物と弁当を買って、今来た道を帰る。いつもの道だ。

 途中、喫茶店らしい店がある『こんなところに喫茶店あったかな』と思いながら見ると、綺麗な女性が水晶や黒い布を片付けていた『店の前で占いでもしていたのだろうか』その様子を見ていると女性と目が合った。

「見てあげましょうか?」

突然、声を掛けられ驚く私に、女性は微笑みながら言う。

「占ってあげましょうか?」

「あ、いや、ちょっとお弁当買いに来ただけで持ち合わせがないから」

と戸惑う私。女性は私の顔を覗き込むようにして、


胡散臭うさんくさい占い師だな。早く帰りたい……そう思ったでしょ。当たった?」

と聞いてくる。綺麗だが少し変わった女性だと思った。


「いいですよ。お金なんて。どうぞ」

と微笑んで椅子を勧められた。女性は水晶を手に、

「よく見えないなあ」

と言って、私の顔をまじまじと見つめてきた。『見るのは顔じゃなくて水晶だろう』と思ったが、改めて近くで見るとドキッとするほど美しい。


「あなたは今日少し嫌なことがあった。でも、ここで私に会って、少し嬉しい気持ちになって帰る。そして明日は少し元気に仕事に行ける」

「……」

呆気に取られて彼女を見ていると、

「おしまい。当たりそう? 私の占い」

と微笑んだ。


なんだか少し嬉しい気持ちになった。

「当たりそうですね」

と言うと、彼女は嬉しそうに微笑み、

「よかった」

と言って店を片付けはじめた。また、この店に寄ってもいいなと思った。


 次の朝、店の前を通るとき彼女の姿を探してしまう私。

『占いは当たったかな』

と思った。

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深夜の散歩で出会った KKモントレイユ @kkworld1983

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