深夜に散歩していたら、神を名乗る紙に遭遇する、意味不明な話

三国洋田

第1話 意味不明な話

 ある日の深夜。


 ああ、なんか暇だなぁ。


 なぜか寝る気にもならないしなぁ。


 どうしようか?


 そうだ!

 ちょっと散歩でもしてこようかな!


 普段見ることができない、何かがあるかもしれないぞ!


 うん、なんだか面白そうだな!


 それに運動すれば眠くなってくるかもしれないしな!


 雨は降っていないようだし、ちょっと行ってみよう!


 俺は着替えて玄関に向かった。



 外に出た。


 当たり前だけど、暗くて静かだな。


 それにちょっと肌寒いなぁ。


 だが、それが気持ち良くもあるかな。


 では、出発しようか。



 住宅街を歩いている。


 周囲には誰もいない。


 それに、どの家の電気も消えている。


 とても静かだな。


 普段見れない新鮮な光景ではあるが、不気味でもあるなぁ。



 公園にやって来た。


 ここも静かだなぁ。


 それに誰もいない。


 うーん、あまり面白くはないなぁ。


 どこか良い場所はないものか?


 ちょっと裏路地にでも行ってみようかな?



 裏路地を歩いている。


 ここも何もないなぁ。


 つまらないねぇ。


 他に何かないものかなぁ?



 その後、各地を回ってみたが、面白いものは何も見つからなかった。


 だんだん疲れてきたなぁ。


 仕方ない、家に帰ろうか。



 自宅の前までやって来た。


 はぁ、結局、面白いものは何もなかったな。


 ああ、刺激が足りないなぁ……



「そこの君、ちょっとよろしいですか?」


 後ろから聞き覚えのない声が聞こえた。


 振り向くと、そこには宙に浮いている、巨大な白いトイレットペーパーのようなものがいた。


 幅、直径ともに一メートルくらいはありそうだ。


「ぎゃあああああっ!!! な、なんだこいつは!? 化け物か!?」


「化け物ではありません。私はカミです」


「紙!? まあ、確かに紙だな! トイレットペーパーだ!」


「その紙ではありません。ゴッドの方です」


「ええっ!? そっちの神!? 本当に!?」


「はい、本当です」


「は、はぁ……」


「ちなみに、何の神かというと、ダーツとギャンブルの神です」


「そ、そうなんですか……」


 ダーツとギャンブルの神なのに、なんで姿がデカいトイレットペーパーなんだ?


 意味が分からんなぁ。


 まあ、いいか。


 とりあえず、話をしてみよう。



「ええと、何か私に用があるのですか?」


「君は刺激を求めていますよね?」


「え、ええ、確かにその通りですね……」


「ならば、私と遊びませんか? 刺激的ですよ」


「遊ぶって、いったい何をするのですか?」


「もちろん、ダーツです」


 神がそう言うと、俺の数メートル先に、直径二メートルくらいのカラフルな円盤が現れた。


 そして、俺の目の前に、ダーツの矢が一本現れた。


「その矢を、あの的に投げてください。当たった場合は褒美を差し上げましょう」


「褒美!? どんなものがあるのですか!?」


「宝石や貴金属なんかもありますよ。たいしたことのないものもありますけどね」


「おおっ、それはすごいですね! ところで、外れた場合はどうなるのですか?」


「何ももらえないだけですよ」


「そうなんですか」


 それってもしかして、リスク皆無なんじゃないか!?


 これはやるしかないな!



「やってみますか?」


「はい、やります! やらせてください!!」


「分かりました」


 神がそう言うと、的が回転し始めた。



「では、矢を投げてください」


「はい!」


 よし、絶対当ててやるぞ!


 俺はよく狙って、矢を投げた。


 なんと見事に、矢が的に命中した!



「おおっ、やった! 当たったぞ! これで何がもらえるのですか!?」


「ここは『一週間、体のどこかに地球が爆発してしまうスイッチが出現する罰ゲーム』がもらえるところですね。おめでとうございます」


 地球が爆発!?


「ええっ!? なんですか、それは!?」


「名前の通りのものですよ。では、どうぞ」


 神から白い光線のようなものが出て、俺に当たった。


「い、今のはなんですか!?」


「スイッチが出現する光線です」


「冗談でしょう!? そんなのやめてくださいよ!?」


「冗談ではありませんし、やめません」


「なんでこんなことをするのですか!?」


「人間の生き足掻あがく様が見たいからですよ」


「もしかして、あんたは邪神なのかよ!?」


「そうなのかもしれませんね。おや? どうやら額にスイッチが出現したようですよ」


「えっ!?」


 俺は額のスイッチを押してしまった。


 その瞬間、地球は爆発した。


 ついでに邪神も倒した。


 宇宙は平和になった!!



 めでたしめでたし!!!!!

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深夜に散歩していたら、神を名乗る紙に遭遇する、意味不明な話 三国洋田 @mikuni_youta

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