深夜の散歩で起きた出来事
紫陽花の花びら
第1話
「この成績でこんな遅くまで遊んでいられる神経! もう……」
「るせ!」
俺は玄関で仁王立ちのばばあに背を向け外へ飛び出した。
「待ちなさい!……バカ」
判ってる……俺だって。
今日だって遊んでたわけじゃ無い。図書館で勉強為て後は○ックで。家に帰ったってあの調子だ。大体地頭が悪いんだから、あんま期待為んなよボケが。
あっ、午前零時とっくに廻ってる。制服で歩いてたら補導されるのがオチだ。如何すっかなぁ。
あの顔見たくねぇし。親父まだかなぁ。携帯がばばあと唸る。
「ミャ~ミャ~」
うん? なんだ? 何処? 足元を見る。
お、おっ! この生き物は……猫だ。動物全般苦手な俺は、そっとベンチから立ち上がり静かに歩き出した。やべぇ~まじやべぇ。
「ミャ~ミャ~」
へっ? 振り返ると真下に。
それからはだるまさん転んだ状態だ。誰か助けてくれ! 電話来た! 親父だ!
「おい不良、今何処?」
「へっ不良ってなに? 散歩してんの。今北松公園にいる。そんな事より猫に付けられてる。何とかして! ミャ~ミャ~聞こえるだろう」
「クッ情けな、そこ動くなよ」
助かったぁ親父が来れば大丈夫だ。それにしても小さな猫だな。
「お~不良いたいた。これかぁ、まだ赤ちゃんだな。可哀想に親とはぐれたか」
持ってきたバスタオルに子猫を包むとチャリの籠に入れた。
「母さん心配して泣いてたぞ。あんま泣かすな。不良よ」
「だって、話しも聞かないで怒鳴るんだぜ」
「あれも言葉たりないからな。
でっ、この子どうする? お前ためだよな」
「うん……ばばあはどうなん?」
「ほお~気にしてんだ。良い息子だね~」
「うるせ。……ばばあの仕事増やすからさ」
暗闇からヌッ~と出て来たその人。
「ばばあって誰」
母さんは子猫を抱っこして歩き出した。
「お腹空いたね。ミルク飲もうね? おにちゃんもお腹空いたでしょ。そうだ! 君の名前は~まじめに決定!」
「ミャ~」
「ば、母さん やめて!」
終
深夜の散歩で起きた出来事 紫陽花の花びら @hina311311
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