トイレを訪ねて三千里

まめでんきゅう–ねこ

トイレ

このデパートは、重力がぐちゃぐちゃになっている。


初めて聞いて、わけわからんと思うだろう。


しかし、文字通り、本当に重力がぐちゃぐちゃになっているのだ!


俺は、そんなデパートで、トイレに行きたくなってしまったのだ。






このデパートは広い。迷宮のような場所だ。


しかも重力がぐちゃぐちゃ。天井に店があることもよくある。


もしかすると、トイレも天井にあるかもしれない。


俺は走った。右も左も分からない、このデパートで、走り回ることは不可能に近いが、それでも走る!


走らなきゃ、間に合わない!



ダッシュダッシュダッシュダッシュ!


全ての力を膀胱ぼうこうと足に集中させる!


頼む!耐えてくれ!!!!!!





なんと、途中で交差点のようになっている場所まで来た!


交差点と言うより、真ん中に穴が空いて、その穴を囲むように、廊下がある感じだ。


トイレはその穴の向こう。飛び越えるしかない。


俺はジャンプし、横向きの店の看板に掴まると、手首を勢いよく回し、穴を飛び越えた!



この速度と高さなら越えられる!そう思っていた。



ドン


なんと先に、清掃員のオッサンがいて、進むのを躊躇ってしまった!


ヤバい!落ちる!


どんどん前に進んでいくたくさんの店が見える。


なんて、なんて、悔しいんだ!!!!!!











ドン




目を覚ますと、どうやら最下層にいた。いつのまにか眠ってしまったようだ。


ここは、どこだ?


辺りを見渡すと、トイレと、縦に書かれた看板を見つけた。


もしかして。



床も見てみると、トイレの壁だった。



着いたのだ!ゴールに!


俺はやったのだ!!!!!!


ふう、苦労して見つけたトイレは、なんだかとても気持ちいい……………!


苦労した人が報われるとは、珍しい。


俺は、手を洗いながらそう思った。


そして、壁にある鏡で身だしなみを整え、トイレを出た。






………あれ、どうやって出ればいいんだ?


便器は床にあっても、和式の要領でできる。


でも、出るには、どうすりゃ良いんだ?
















その後、彼を見た者は、1人もいなかった。















っていう、物語を作ったんだ。どうですか?

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