あとがたり

 明美の母と兄が取り調べの末に自供して友永浅次郎殺人事件は解決した。


 浅次郎の知り合いによって保護されていた明美は事件解決後に戻って来た。今も二人の愛の巣であった自宅で彼を弔いながら生活をしているのであった。

 不幸中の幸いにも彼女は浅次郎の殺された現場を見ていないのだ。あの日、母と兄の急な訪問があり、足りない食材を買いにスーパーへと明美は出掛けたのだった。

 スーパーへ到着する直前に浅次郎からメッセージが届いた。内容は、彼の知り合いの幡谷壮志郎の所へお使いに行って欲しいとの事だった。どの様な用事か分からなかったので食材は後回しにして壮志郎の家へと向かった。


 壮志郎は突然訪問した明美を見て涙したのだった。彼は浅次郎から事前に聞いていたのだ。命が狙われていると。そして、自分の次は明美だとも。だから、彼が殺されそうになった場合に明美を壮志郎の所へと向かわせるので匿ってくれと頼んでいたのだった。


▽▼▽


 色々と憶測を呼んでいた明美の詐欺事件の真相はこうである。


 相良洋一は所謂元カレだった。別れてからも、彼女に付き纏ったり何度も復縁を迫って来ていたのだ。


 あの日も街中で洋一に見つかった明美は逃げていた。なりふり構っていられなく目に付いた葬儀場へと逃げ込んだのだった。人も多く厳粛な場にまでは追い掛けてこないと思ったが、洋一はお構いなしに追って来て騒ぎ立てる始末だった。


 警察署へと連れて行かれはしたが明美はホッとしていたのだ。ストーカーだと訴えれば付き纏いから解放されると信じていたのだった。所が、彼女の思いは打ち砕かれる事になった。洋一は付き合っている間の誕生日やクリスマスなどのプレゼントの事を買わされたものと歪曲して伝え結婚詐欺で訴えたのだった。

 流石に疲れているだろうから取り調べは後日という事にはなったが、ショックは大きかった。


 その後、訴えが取り下げられたので取り調べも無くなった。だが、それは恐怖以外の何物では無かった。

 そんな状態ではあったが、葬儀を滅茶苦茶にしてしまった事も事実だったので、明美は浅次郎の所へとお詫びに行ったのだった。


 浅次郎は、様子のおかしい明美を最初は罪の意識が強いのかと思って和ませようとした。彼は葬儀の事はとっくに許していたのだから。

 それでも変わらない明美に根気強く向き合って、遂に洋一との事を聞き出したのだった。最初は親子程年の違う明美が娘の様に思えて、力を貸す事にした。知り合いの弁護士などにお願いして外堀から埋めていき、3ヶ月後には2度と近寄らないという念書も書かせる事が出来たのだった。


 その間に二人の間には恋愛感情が芽生えていたのだった。浅次郎は母が結んでくれた縁だと生前、知人に漏らしていたとか。

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ぐちゃぐちゃがキーでした ふもと かかし @humoto_kakashi

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