如月弥生、検索!(KAC2023③ぐちゃぐちゃ)

風鈴

如月弥生は、調べ物をする!

 教室は、シンとなった。

 何故って、クラス委員長の長月ながつき如月弥生きさらぎやよいの親友の皐月さつきをど突いてころばした為、弥生が長月を引っぱたいたからだ。


「きさらぎーー!」

 長月は、顔を真っ赤にして声を荒げた。


 教室は騒ついた。

 親友の皐月は、涙目だ。

 離れた所にいる皐月の幼馴染の睦月むつきは、異変に気付き、長月の所へ向かって来ている。


 ――――あら、怒っちゃった?ふん!上等よ!


「なによ?」


「パパからも殴られた事が無いのに!」


「だから、なに?」


 その時だった!

 睦月が長月と弥生の間に割って入った、いや、入ってしまった!


「惚れた!お前に惚れた!」


 ガタイのデカい長月は、睦月の頭越しに弥生に言ったつもりだったが、位置的には、目の前の睦月に言った格好になった。


 教室は、再び、シンとなった。


「今、何て言った?」

「はっ?お前(睦月)になんか言ってねーよ!」

「いや、言っただろ?おまえ…」

 睦月は、顔を赤らめた。


「いや、だから、何を?関係ないだろ?」

「まだ、関係は無いけど?」

「はっ?何をぐちゃぐちゃ言ってんだ、お前?」

「つまりだな、関係は、先ずはお互いを知ることからだな」

「えっ?そうなのか?」

「ああ、もちろん、一目惚れってのもあるわけだけど、うんたらかんたら…」



「行こう!」

 弥生は、皐月の腕を取り、その場を離れた。


 そして、弥生は、部活へ行く皐月と別れ、図書室の一隅にある自習スペースへ行き、スマホを取り出して調べ物に取り掛かった。


 ――――たしか、あの夢の中では、私、お市の方だったと思うのよね。


 あの夢とは、この日の朝方に見た夢の事だ(詳しくは、如月弥生、殴打!の回まで)。


 ――――政略結婚かー。こんな時代に生まれなくて良かった。ふーん、城が落ちた時、三人目を妊娠してたというのは異説としてあるわけね。で、そっちの方が正解なのかも?アレがホントならね。それに三郎信長って言ってたのかー、ふーん。


 弥生は、図書室の蔵書やデジタルライブラリーも調べてから帰宅した。


 そして、自分の部屋に入ると、アイツがベッドの上に仁王立ちになり、赤い目を光らせて自分を睨みつけているのに、直ぐに気がついたのだった。



 了

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