ぐちゃぐちゃは解くときにも三時間かかった

秋嶋七月

パーマと編み込みで約五時間

 もう随分昔、ドレッドヘアにしていたことがある。

 髪型服装が自由な職場だったこと、妹がドレッドヘアを実際に見てみたいからやってくれるなら金を出す、と言ったので面白そうだと乗ってみた。

 私の毛量は人の2倍以上あり、更に癖毛だったので、反対にキツいパーマを当てるのもありじゃないかと考えたのもある。

 ただドレッドヘアの知識は乏しく、ヒップホップやレゲエの人がしてるよね、くらい。ぼんやりとしたイメージしか持っていなかった。

 妹がドレッドヘアの施術が可能な美容室を探して予約をとった。

「えっ、四時間もかかるんですか?」

「お姉さん、髪の量が多いからもっとかかるかもねぇ」

 ドレッドヘアを作るにはいくつかの手法があるが、その時は針金でパーマを当て、アフロヘアのような細かな状態にして更にそれをかぎ針細かく絡めて編んでいく方法をとった。

 説明だけで途方もなく細かな作業だとわかった。

 三人の美容師がかかりきりでパーマに二時間。それを編むのに三時間。

 立派なドレッドが出来上がった。

 恐る恐る触れた時のぽわぽわした感触が、すごく楽しかった記憶がある。

 だがしかし、ドレッドヘアは維持がなかなかに大変で。

 普通に髪を洗ってトリートメントなんてしたら髪が解ける。

 毛束を維持しつつ頭皮を洗い、濯ぎはできる限り丁寧に。乾かす時もじっくりしっかり。でないと中で蒸れたり、匂いや汚れが残ったり。

 できる限り美容師の教えを守っていたけれど、半年経つころには私の髪の根元がぐちゃぐちゃだった。

 伸びてきた髪と解けてきた髪が如何ともし難い状態になったことで、とうとうお手上げ。

 ぐちゃぐちゃになった髪を今度は丁寧に解いてもらって私のドレッドヘア期間は終了。

  存外似合うと周囲からの評判も良く、Tシャツデニムでもおしゃれに見えたのは嬉しかったが、ずぼらで大雑把な性格には向かない髪型だった。

 ドレッドヘアに敬意を表したい。

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