て、手がーあーぁー。

八五三(はちごさん)

美味しく――なーあーぁー、れ!

 荒廃した世界では、危険はご近所さん――身近なモノである。

 宇宙のなかの星の一つである地球で一番、頭の悪い生物――人間。できる能力は、新しい技術を開発することであった。

 科学という技術を生み出すことは、問題ではなかった。それは地球のなかで人間という種族の才能。

 しかし、

 他の生物たちと違い、人類たちは慢心した。

 人類こそ地球でもっとも、知能が高く地球を支配するモノだと。


 ――結果。


 己が作りあげた技術で、創り上げた都市を失うことになってしまう。

 母なる星の大地は砂漠と荒野と廃墟という、絶望が満ち溢れていた。だが、希望とし緑は失われていなかった。

 だが、その緑は昔のように人の心を癒やしてくれる優しい緑ではなくなっていた。

 草木は大量殺戮兵器と呼ばれる核兵器が放つ放射線の影響は受けにくかった。が、大量殺戮兵器である生物兵器に使用されている細菌の一部と放射線との相性がよく、活性化し、突然変異体へ。

 大地は栄養とし、吸収し、異常に活性し始めた。そうすると、ある一つの可能性が高くなり、それが現実へとなったのであった。

 緑に生息していた昆虫たちにも、変化が発生したのであった。昆虫は見た目に反し狩りに対しての知能は、精良せいりょうな生物。

 が、

 巨大化し、凶暴化し――今や地球最強の生物へと変貌を遂げたのだ。


 人類は地球を支配していた科学技術は衰退し、敗北に追い込まれた。


 そこに救世主が登場した――名は、航海者ボイジャー

 太陽系の外惑星および太陽系外の探査計画で、宇宙へと打ち上げられた無人惑星探査機、ボイジャー1号に。


 人類の自らを滅ぼしかけた科学技術に、皮肉にも助けられることになった。


 ボイジャーには、地球以外の恒星系惑星に住むと思われる地球外知的生命体によって発見され、解読されることを期待して、彼らへのメッセージとし。レコードに収録されている55種類の言語による挨拶や自然音、効果音、画像の一部が搭載されていた。

 それと常に地球へ観測データを送信していた。

 人類が求めていた――地球外知的生命体に受信されたのであった。


 彼らの名は――アトランティス、パシフィス、ムー、メガラニカ、レムリア。伝説上に存在すると云われていた大陸の名であった。

 この五つは大陸名ではなく――恒星間移民船の船名だった。

 アトランティス、パシフィス、ムー、メガラニカ、レムリア。は、最初の地球人であった。

 彼らは、地球を死の星へと変えた知的生命体が現れたことで。自分たちは、生まれ故郷を離れることにした。

 格好いい言い方をすれば、世代交代。言い方を変えれば、お引越し。

 同じ知的生命体でも、彼らの技術力をもってすれば、新たに居住する星など簡単に、創り上げることができたからだ。

 そして、

 彼らは次に移住する星の海へと旅立った。


 惑星地球化計画テラフォーミングをし、落ち着いて暮らしている最中に――最悪の情報が飛び込んできた。


 世代交代した知的生命体が、最悪の戦争を引き起こし。全滅の危機に瀕していると。


 最初の地球人の彼らは、決断した。

 生き残ったモノたちを助けることに。


 惑星地球化計画できる技術を使用し、放射性物質をエネルギー源にして活動する有機再生組織ナノマシンを散布し。ある一定の放射能汚染を除去した。


 だが、

 人々は戦争を起こした罰を受けることになる。

 

 アトランティス、パシフィス、ムー、メガラニカ、レムリア。は、人には管理社会ディストピアを自然界には自由主義ユートピアを与えることにしたのであった。


 そんな世界で。


 一人は。

 20世紀で誕生し、21世紀で命を落とした男――松田まつだ宗一郎そういちろう


 一機は。

 22世紀で誕生し、人類にとって危険と判断された殺戮さつりく兵器――ヴァンケルエフ


 一柱ひとはしは。

 23世紀に誕生し、人類を滅亡させた機械仕掛けの神――アネス。


 が、生活を送っていた。




 キッチンには荒廃した世界に似つかわしくほどに、洗練された超一流の厨房が。そこに一人、料理をしている者が居た。特徴のない顔立ちに特徴のない体型の少年。

 でも、

 この少年は、無茶な運転をするドライバーカウボーイ。と、呼ばれる凄腕の戦闘装甲車乗り、松田宗一郎であった。

 

 危険な荒廃した世界のおかげで、新しい仕事として便利屋という職業ができた。

 宗一郎は、有限会社――交通違反者ロード・バスターの一人の社員でもあった。

 あと、二人の社員がいる。正しいくは、一機と一柱である。




 生々しい、ぐちゃ、グチャ、ぐちゃ、グチャ。と、キッチンから聞こえてくる音。

 宗一郎は、顔をしかめながら手際よく混ぜていた。


 ――牛豚合挽き肉を。


 美味しいハンバーグを作るには、もっとも大事な極意だからだ。

 練るときに手の温度で肉の脂がどんどん溶け出してしまうので、氷水で冷やしながら練るのがポイント。であり、また、塩を入れてからよく練ると、肉に含まれるミオシンというたんぱく質が互いに、くっつき粘りがでるので、より割れにくくなる。


 次は、


 表面をなめらかにしておくこと。そうすると加熱した際、火が均等にあたって割れにくくなるので、肉汁を完全に閉じ込め――肉汁の旨さを一滴たりとも逃がすことなく美味なハンバーグを食すことができるのである。


 最後の工程。


 蒸し焼きと余熱の合わせ技で、ハンバーグの中まで火を通し、肉汁を中にしっかりと完全封鎖。このとき途中で絶対に、フタを開けないことが重要である。フタを開けることにより、温度が急激に下がり余熱の効果が薄れてしまうからだ!




「宗一郎! 今日の夕飯の献立はなんだ?」

「ヴァンケルの好きな、ハンバーグ!」

「ハンバーグ、、、、、ごっくり!」

「ぁ。ワタシは、付け合せのブロッコリーは、なしで、よろ!」

「アネス。好き嫌いは、大きくなれないぞ!」

「ぃゃ。ワタシ、十分、大きいけど」

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て、手がーあーぁー。 八五三(はちごさん) @futatsume358

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