ばかみんち

榮織タスク

始まりは鹿だった

 山肉、というのをご存知だろうか。

 山で狩猟した動物の肉のことらしい。私がそれを取り寄せるようになったのは、知人から山肉を買うことで、その地域の猟友会が助かると聞いたからだった。

 畑の作物を食い荒らす、害獣。猟友会の人たちが狩猟して、地域の肉屋が加工して販売。私たちが食材として買うことで、売上の一部が猟友会の弾の費用とかに充てられる。なるほど、害獣駆除に形はどうあれ協力できるというのは良いことだね、と山肉を買うようになったわけだ。


「なるほど。先生が最近ジビエづいているのはそれが理由なんですね。それで、これは?」


 鹿のミンチ、1キロ。


「馬鹿ですか!?」


 うむ。こちらに馬のミンチがさらに1キロ。


「そういう意味じゃない……ってほんとに馬肉!?」


 うむ。人間用の店を探すのに苦労したよ。


「人間用……ですか?」


 鹿ミンチも馬ミンチも、取扱いをしているのはほとんどがペットフードショップなのだ。私はひとつ学習した。


「は、はあ……」


 今日はこれらをこねこねと合わせてだね。


「ま、まさか!」


 焼いて食うのだ! つまり、文字通りの馬鹿ハンバーグを作ろうという企画だね!


「ちょっとそこに直れ」


 あっはい




 というわけで、完成だ!


「調理工程は!?」


 作り方は他のハンバーグと変わらんよ。時間もないことだし、このままちゃっちゃと食べてくれたまえ。


「あ、意外と美味しい」


 そうだろうそうだろう。

 中にチーズを入れて馬鹿チーズハンバーグにしても、カレーに入れて馬鹿ハンバーグカレーにしても良いと伝えておこう。ただし、牛と豚のハンバーグと比べるとやはり淡泊な味わいなので、興味がある人は取り寄せて買って食べるのをお勧めする。

 結構色々なところで食べられるぞ。


「じゃあ何故こんな手間をかけたんですかっ!?」


 趣味だ。

 なお、この話はおおむねノンフィクションだが、ごく一部にフィクションが含まれている。

 どこだと思うね?

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