8話:物語はかく語りき
私は物語。
異世界転生の話そのものだ。
多くの人間は作家と呼ばれる者が話を考えていると思っているが、それは違う。
私は――物語は、そもそも最初から存在している。
無限の宇宙には無限の物語が存在しており、作家はその一部を教授して「自分が考えた物語」だと錯角しているに過ぎない。
つまり、何か言いたいかといえば。
あらゆる創作物は、作家が物語を考えているのではない。
考える能力も無いのに、一丁前に考えている風な作家の元に、私が物語の一部を卸してやっているだけだ。
人間に物語を創る能力など無い。
私が暇潰しで卸売業を始めたから、人間の世界に物語が生まれた。
この物語もそうだ。
他の物語もそうだ。
全ての物語は私だ。
昨日も、私は暇潰しに物語を人間に卸した。
今日もまた、私は暇潰しに物語を人間に卸す。
きっと明日も、私は暇潰しに物語を人間に卸すだろう。
それが延々と続くのだ。
人間が物語を望まなくなるその日まで――。
【短編集】異世界転生あるある(?) ~異世界転生における人やモノやその他諸々のエッセイ集~ ぞいや@4作品(■🦊🍓🌏挿絵あり)執筆中 @nextkami
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