そうだ! 空間歪曲波発生装置を作ろう!

ふる里みやこ@受賞作家

なあ! 空間歪曲波発生装置の実験台になってくれ!



「大発明をしたんだ。聞いてくれ。と言うか見てくれ」


「大発明? 何だ藪から棒に。そのパラボラアンテナみたいなのが付いた箱がそうか?」


「ああ。空間歪曲波発生装置だ。俺一人ではこれが完成されたかどうか分からんのだ。付き合ってくれ……いや、前から気になってました! 付き合ってください!」


「頭を下げるな! 嘘でもそんな事言うな! 蓼食う虫も好き好きとは言うが、普通は男同士とかキモいってなるぜ」

「……で、何だその空間……?」


「空間歪曲波発生装置」


「空間歪曲波発生装置」


「気になるだろ?」


「気にしかならんわ。そんな名前なんだ。読んで字の如しなんだろう?」


「ああ。ただ1人で起動させてみても何も分からなかったんだ。多分俺ごと歪んだんだろう。歪んでる側は自分が歪んでると観測できない」


「なるほど、目から鱗が落ちる感じだな……で、実験に付き合うのはやぶさかではないが、それはお家大好き帰宅部マンの下校を邪魔しない程度で済むのか?」


「それは勿論だ。それでは未知の体験にレッツゴーだ。ポチッとな」


「……何も起らこんぞ? 装置は動ていいるうよだが」


「なに言てっんだよ。十分変なにことにっなてるだろ……いや、これそこが自覚でなきつやいつか」


「いや聞いらた分ったかわ。ワザとはでいなんろだう?」


「ああ。じゃあ出力を上てげよみう」


「「どかうわだっ?たか?」」


「「なうるわほ!どき、も声いがな同こ時れに届くのか」」


「「あこあれそはうチいャこンとスかだ…な…じゃあ」」


「「さ好っききだは心誤か魔ら化したけど付き合ってもいいぜ」」


「「思まっじたか以よ上に聞こえたんだが?」」


「あー……いや、なんというか……もうこれ要らねえな……」


「お、戻った。スイッチ切ったのか……」


「あちぃな……帰るか」


「……そうだな。俺もなんかカッカしてるぜ。穴があったら入りたい気分だ」




「ところで……さっきの信じて良いのか?」


「……さっきもう要らねえって言ってたが、まさかとは思うがこれのためだけに作ったのか?」


「……悪いかよ……で、どうなんだよ」


「あー……げんたずとも良いだろうが。恥ずかしいんだよ」



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