神様はつらいよ

神様の失敗

　まだ世界が世界でなかった頃、寂しがり屋の神様は世界を創る事にしました。無事に天地は作られ、次に生物を創る事にします。最初に生み出した生物達は神様のテンションがおかしかった事もあって、みんなバラバラで好き勝手な事をし始めました。

　神様がちょっと目を離した隙に地上はぐちゃぐちゃになってしまいます。それを見た神様は反省し、大洪水を起こしてリセットしました。

　次はその反省を生かし、調和を考えた構成にします。こうして、持続可能な生態系を見事に作り上げました。みんなが懸命に生きる様子を見た神様は大変満足します。

　地上に生物が満ちたので、神様は自分の代わりにこの生物達を管理する人間を創りました。神様の代わりをするので、人間には強さと賢さと異能力を与えます。これで神様の仕事は終わるはずでした。

　強くて賢い人間はすぐに文明を作り上げます。しかし人間達は争い始め、世界はぐちゃぐちゃになってしまいました。この結果に神様は深く絶望します。勿論洪水を起こしてリセットしました。

　その後も世界を作り直すのですけど、結局最後は人間がぐちゃぐちゃにしてしまいます。その度にリセットするのですが、何度やってもこの結果を回避する事が出来ませんでした。打つ手がなくなった神様はストレスでハゲてしまいます。

　何度目かのリセットの後、悩む神様の前に奥さんが現れました。彼女は神様に向かって私に任せなと自信満々に言うのです。すっかり自信をなくしていた神様は、世界の創造を彼女に任せる事にしました。

　奥さんは神様の仕事を見ていたので、上手に生物達を繁栄させていきます。問題は最後の詰めの人間でした。神様も見守る中、奥さんは人間を創ります。彼女が調整した人間達は暴走する事なく、世界は調和を維持したまま繁栄していったのでした。

　え？　奥さんは何をしたのかですって？

　人間を素直だけれど非力なおバカにしたのです。