【KAC20233】我が家のヒエラルキー

赤ひげ

吾輩の完全犯罪

 吾輩は猫であるニャ。

 もちろん我が家のヒエラルキー3年連続トップだニャ。

 でも1カ月前にこの座を脅かす者が現れたのニャ。


 その名もポチ。人間に従属するワンカスだニャ。

 まだ子犬でトイレも満足にできないので、自由を与えられることはないのニャ。いい気味だニャ。

 お前にできることはその尻尾をふりふりすることだけだニャ。

 ちょくちょく吾輩も利用するのニャ。


 それに比べて吾輩は決められた場所でしっかり用を足すことができるのでこの家を自由に闊歩することができるニャ。

 と言うよりも吾輩の家なんだから当然なんだがニャ。

 おっと……本題から外れたのニャ。

 実はここ最近人間どもがワンカスばっかり構って吾輩の扱いが軽いのニャ。


 最初は王者の貫禄で見過ごしてやっていたがニャ……あの人間どもワンカスへの溺愛振りがストップ高で留まることを知らないのニャ。


 そこでそろそろお灸を据えるべく吾輩自ら動くことにしたのニャ。

 まずはティッシュを嚙みちぎり中身をバラまくニャ。

 ついでにビーズクッションも中身をぶちまけるニャ。

 後は自由に歩き回り吾輩のプリチーなお尻でテーブル上の物を落としておけばもう人間どもは悲鳴をあげることしかできないニャ。


 吾輩は長年住み続けているのでこんな悪戯をするなんてあの人間どもは夢にも思わないのニャ。

 容疑はあのワンカスに向くのニャ。


 おっとそんなことを考えてるうちに人間どもが帰ってきたようだニャ。


「うわっ! なんだ部屋中これぐちゃぐちゃじゃないか!」

「も~……だから留守にする時はタマをケージに入れとこうって言ったでしょ~」


 ん? なんか容疑が吾輩にかかってるのニャ。

 どう考えてもワンカスしか犯人はいないはずなのニャ。


「ほらっポチ。サークルの中で退屈だったか? ちょっとこっち片付けるからあっちの部屋で遊んでてな」


 吾輩サークルのロックを外し忘れたようで、今日のご飯が心配になってきたニャ。

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