ディスる者たち

道楽もん

緩やかに時の流れる部屋


「おぅ……目覚めてるか……?」


「……ん。どした?」


「いや、ちぃとばかし昔の事を思い出してな……話がしたくなったんだ」


「珍しいな。まぁ……いいぜ、付き合ってやるよ」


「俺らと遊んでいた人間はどこに行っちまったんだろうな」


「何の話かと思ったら、あいつらの事かよ。まぁ、だいぶ一緒に遊んだからな」


「最初は女の子の為に買われたはずなのに、いつの間にかその子の兄が俺らにハマっちまってたよな」


「そうだなw 十数体いた俺らの仲間集めて冒険ごっことかな。RPGゲームとやらにハマって紙製の武器とか胸当てとか装備させられてよw」


「やったやったw 段ボールくり抜いた城とか家とか、沢山作ってもらったっけなぁ……アレはあれで楽しかったけどな」


「女の子の方は段々とマンガ描くことに夢中になっていったっけな。俺らが主役のマンガもたくさん描いて貰ってたっけ」


「そのうち兄貴の方も描き始めてたな。簡単だって理由で俺らのことばかり、小六くらいまでな」


「その後、だったか……やけに家の中の空気が重苦しくなってたっけな」


「怒鳴り声なんかが聴こえてくる事が多くなったのも、その頃か……それまでにも一人二人、人間の数が減ってたのは分かってたけどよ」


「印象的だったのは、珍しく俺と一緒に布団の中に入った兄貴の方が、泣きながら寝てた事だったかな? その内、一緒に遊ぶ回数が激減してきたと思ってたら、いつの間にか居なくなっていたんだよな……飽きられたのかな」


「……俺は別にそれでも良いと思ってるぜ? 人間は俺らと違って成長するものだし、いい歳したオジサンが冒険ごっこもないだろ?」


「それは分かるけどよ……せめて俺に付けた名前だけでも変えてから居なくなって欲しかったぜ。ネコ型で手の平で操るタイプの人形にマイケルだぜ?」


「何が変わるってものでもないけどよ……でも、俺らの事をまだ、忘れていないと嬉しいなぁ……」

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